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「陰陽師2」


陰陽師2
二匹目のどじょうはいなかった・・・・・・というのが、
正直な感想。
第一弾であれほど緻密だったCG使いもファンタジーっぽくなっちゃったし、
セットは「セットらし」すぎるし、
話も荒唐無稽さが先鋭化するばかり、
なのにディテイルはおざなり・・・・・・。
一言で言って「ちゃっちく」なってしまった感あり。
ただ、
それにしては胸に残る、このワサワサは何??
この「荒唐無稽」の奥にある壮大かつ根源的な問いかけが、
ものすごくアナーキー。
コワイ映画です。
というのは、一作目は、政権争いで失脚した皇子(荻原正人)の霊がきっかけといいながら、
その荻原と小泉今日子の「愛の力」がメインとなっており、
同尊の朝廷に対する「恨み」もけっこう逆恨み的に扱われておりました。
ところが今作、
「ヤマト朝廷」VS「イズモ勢力」をはっきりと打ち出しているのでございます。
「イズモの方が大きかったし正統だったのに、
 ヤマトが攻めてきて、根こそぎ奪ってしまった。
 恨めしや、ヤマト・・・」
というのが、中井貴一を代表とするイズモ側のコンセプトなのであります。
そして終盤、スペクタクルの果てに天にまで届くほどの階段ができて
イズモの社の上の上の上に、本物の神様に通じるところがあるー!!
・・・みたいな。
今ある出雲大社は、行ってみた人はその大きさにドギモを抜かれるといいますが、
それでも最初に作られた出雲大社より数段小さいといわれ、
当時どうやって作られたかいろいろな論はあるものの、
相当大きかったことだけは確か、と言われています。
そうした風土記などの記述を丹念に追って作られたと思われるこのストーリーは、
視点によっては背筋が寒くなるほどの「情念」がこめられています。
萬斎さんの女舞いにびっくりしたり、
深キョンの色白の肌と涼しげな瞳にポーっとしたりしていると、
大事なメッセージを見落としてしまいそう。
世の中のできごとをひっくり返して見ることを提言しているともいえる、
この映画。
侮れません。

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