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「満月の夜」


エリック・ロメール コレクション 満月の夜(DVD) ◆20%OFF!
エリック・ロメールの作品から
今日は「満月の夜」
ルイーズは、パリで働く女の子。
レミという男とパリ郊外の家で同棲している。
このレミ、すんごく独占欲が強い。
仕事で遅くなって終電がなくなるルイーズを車で迎えに行くし、
外出するといえば、一緒に行くというし。
もちろん、彼女がほかの男と一緒にいるのは
たとえただの友達でもイヤ。
イヤだけどがまんしてる。
ルイーズが好きだから。
がまんしてるからイヤミも出る。
ルイーズが好きでたまらないから。
そんなレミが、ルイーズは重ったるい。
好きは好きだけど、
そこまで束縛しないでほしい。
そこまでレミの思うとおりには生きられない。
私はまだ若いし、人生を愉しみたい。
男だって女だって、私の友達に変わりない。
あなたのことは好きだけど、
私は私で好きなことをしたいの!
どうしていちいちあなたに合わせなきゃいけないの?
「金曜の夜は踊りに行きたいの!
 あなたは土曜の朝がテニスでしょ。
 私は土曜は寝ていたい。
 あなたのことは好きだけど、一緒にいすぎると窮屈。
 二人の愛のために、金曜だけは別に暮らしましょ」
ルイーズはそれまで人に貸していたパリのワンルームに
自分用に改装した。
もんのすごく抵抗したレミだったが、
気がつくと「ちょっと離れた関係」になじんでいく。
ルイーズいわく
「想像以上に」。
ではルイーズといえば……。
「二人の愛のために」は当たっていた。
離れることで再確認する、レミへの思慕。
順調に行くように思えた二人の
ちょっといびつな恋愛ごっこは、
だが「満月の夜」に大きく急展開する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ルイーズに扮するパスカル・オジェが、
マリアン(といって今何人の人がわかるだろうか?)に似ていた。
顔だけじゃなくて、仕草とか、しゃべり方とか。
最初は筋よりそっちの方が気になってしまったくらい。
この「満月の夜」はエリック・ロメールの
「喜劇と格言集」というシリーズに入っていて、
今回の映画につけられた格言は
「二人の妻を持つものは心をなくし、二つの家を持つ者は分別をなくす」
というもの。
この格言、ロメールが作ったんだって(笑)。
男と女の愛の『誠実』とは何か、
彼はとってもマジメに考えている。
自分にとって『誠実』なことが、相手にとってはどうなのか。
愛は一人では完結しないものなのに、
そこを取り違えてしまうことは往々にしてある。
とってもキュートなパスカル・オジェの
パリの若い女の子の生き方をステキだなー、と思う一方で、
そこに用意された落とし穴もまたしっかり描くロメールの手法が、
モダンに見えてけっこうクラシックなところがおもしろい。
束縛・嫉妬・独りよがり・疑惑…。
今も昔も、愛のトラップは変わりません。

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