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フレッド・アステア@「トップハット」

「華麗なセットを背景に、アーヴィング・バーリンの名曲とともに
フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャーズのゴールデン・コンビが
スクリーン狭しと踊りまくる華麗な姿は、
もはや芸術の域に達している」
…と紹介されてしまっては、見るしかありません。
以前に紹介した東京・渋谷のシネマ・ヴェーラでやっていた
特集「映画史上の名作2」の最終日、
ようやく念願叶い、
全盛期のフレッド・アステアに会ってまいりました!
「トップハット」のあらすじは、
フレッド・アステアばりのアメリカのスターダンサー・ジェリーが
ロンドンでの初のステージを成功させようとマネージャーと乗り込んできて、
そこで出会った女性・デールに一目惚れして始まる恋の物語。
デールが、まだイギリスでは公演をしたことがなく面が割れてないジェリーの素性を
同行しているマネージャー(彼は既婚で奥さんはデールの親友)の素性と
取り違えてしまうことから
カンチガイ・すれちがいの連続が起きるラブコメで、
まあ、結果はわかりきっているわけですけど、
とってもおしゃれだし、
とにかくアステアがすごいんで、ほかのことなんかどーでもよくなります。
細い。
手足が長い。
てのひらが大きい、手の指が長い。
しなやか。スピーディー。
動いても、止まっても、絵になる。
まるで鳥が羽ばたくように、素早く、しかしふわっと軽く、
やさしい音がどこまでも続くタップは心地よく、
気づくと微笑んでいる。魔法だ。癒やしだ。ただただ心地よい。
それもそのはず、まずはアステア自身が気持ちよさそう。
「いつでも踊りだしたくなる」というセリフそのままに、
アステアは踊る、踊る、踊る。
ステッキとタップと、まるで二つの楽器をあやつるように、
音楽をまとってくるくると、目にも止まらぬほどに、
踊るのが楽しくて、楽しくて、しょうがない、というように。
ホテルの部屋をところかまわず(そして夜なのに時間もかまわず)踊りまくるから
「うるさい」とどなりこんできた階下の女性(デール)に一目惚れして
部屋に帰った彼女をゆっくり眠らせてあげるために、
床にタバコ消しの白い砂をまいて
砂浜を波が洗うがごときタップを披露する。
見て引き込まれ、聞いてとろける、そんなタップだ。
映画では、ロンドンでのショウを劇中劇のようにして映すのだが、
シルクハットに燕尾服のバックダンサーを従えて踊る
やはりシルクハットと燕尾服にステッキというアステアは
もうダンディっていうか、決まってます。
スターのオーラです。でも重鎮ではなく、あくまで爽やか、そして軽やか。
ああ1930年代に生きていたかったって思います。
でも、この時代に舞台なんか見られる人は、
貴族とか大金持ちとか、そういう人だったろうなー。
私が1930年に生きてなかったことを恨むより、
アステアが「映画」というもののある時代に生きていてくれたことに
まず感謝しなくては!
DVDになってます。
タップダンスをしている人は必見。
ミュージカルやバレエ、ダンスの好きな人も必見。
アステアもすごいけど、
相手役のジンジャーも負けてないから脱帽です。
でもリードしてるのは、アステアです!
*連想その1*
時々、アステアの顔が安蘭けいに見えてきたんです。
大きな目と口元、小柄なわりに大きな掌、針金のようなピンとした立ち姿。
似てる…。
*連想その2*
ラスト近く「ピコリーノ」という曲でたくさんの人が踊るんだけど、
その曲の間奏というか一部分
(6拍子がラララ・ラララ・ラシ・ドシ・ラソと3-3-2-2-2に分かれるところ)が
アレンジも含め「大江戸捜査網」のテーマメロディとおんなじ!
…っていうか、こっちが先ですが。
「水戸黄門」のテーマは「ボレロ」で、
「大江戸捜査網」は「トップハット」か、と感慨ひとしお。

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