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Kバレエ「白鳥の湖」(浅田/マルケス)10/31@オーチャードホール

おくればせながらのレビューです。
昨日「情熱大陸」を見ながら、レビューがまだだったことに気付いた次第。
この日はオーチャードホールの3階サイド席というのを初めて体験しました。
見知らぬ男性と2人掛け、みたいな感じになりましたが
非常に見やすくて快適でした。
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ふつう、オデットは清楚、オディールは誘惑的という分け方がなされるけれど、
ロベルタのオデットは、今まで体験したことのないくらい肉感的。
2幕のアダージオでは、
汗がじんわりと噴出す胸のあたりが上下して呼吸が見てとれると、
官能的ですらあり、
ああ、このパ・ド・ドゥは単なる愛の語らいではなく、
ストレートに男女がからみあっていくさまでもあったのだ、とさえ思うほどでした。
そんな愛のかたまりのようなロベルタオデットを相手に、
浅田は善戦。
天下のロベルタ・マルケス相手に一歩も引かず、
しっかりと彼女を受け止めていました。
「受け止める」と簡単に言ってはしまうけれど、
ロベルタが一つひとつのカウントに詰め込む技術の粋といったらハンパない。
回る、ピタっと止まる。ビュンビュン回る、ビシっと止まる。
そのしなり、力強さ、メリハリのよさは、
浅田が全身でサポートしてこそ活きてくる。
マルケスの「押し」、王子の「受け」がうまく噛み合っていたし、
マイムに込められた意味を噛みしめるような丁寧な物腰は、
熊川ほどのドラマ性を感じる表現には届かないものの、
王子としての品のよさを醸して好感が持てた。
しかし何より、
ソロの見事さである。
マルケスのサポートにまわっている時とは違って大胆で、
自信に満ち溢れたダイナミックで正確な踊りは
当夜の舞台の中央に立つのが浅田であることを雄弁に語った。
決してマルケスの添え物にとどまらない、れっきとした主役であることは
終演直後、マルケスが破顔で浅田を迎えたことでも証明されたといえよう。
この日は主役2人に限らず、
全員が力を出し切っていい舞台だった。
特にパ・ド・トロワの遅沢と友人ベンノの橋本が出色の出来。
遅沢は踊りに色気があり、ドラマを感じさせる。
主役でなくても主役の風格漂うところが、プリンシパルたるゆえん。
橋本は、熊川をほうふつとさせる滞空時間の長い跳躍が魅力的だ。
スピードがありながら抜群の安定感。
のっぺりとした背景から3Dさながらに跳び出てきては愛嬌をふりまくような
1人別次元を行くところにオリジナリティがある。
女性陣では浅田紫織、松根花子が目立った。
また、四羽の白鳥が抜群のユニゾンと軽やかさで喝采を浴びた。
あそこまで足音のない見事な四羽の踊りはなかなか経験できない。
オーケストラも滑らかに流れ、安心。
浅田をマルケスにぶつけての一発勝負は、吉と出た。
大勝負に勝てた陰には熊川の眼力、浅田のがんばりもさることながら、
Kバレエ全体として何をどう目指すのかが定着してきた点があるのではないだろうか。
Kバレエの次の公演は年末の「くるみ割り人形」。
そして、3月の「ピーターラビット」/「真夏の夜の夢」である。
「ピーターラビット」は本当に楽しく美しい演目で去年は2度も観てしまった。
今年の再演は大歓迎だけれど、
それより何より、熊川のパックが本当に楽しみだ。

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