映画・演劇・本・テレビ、なんでも感動、なんでもレビュー!

  1. 舞台
  2. 19 view

「ジーザスクライストスーパースター」

今やミュージカルの大御所、
アンドリューロイド・ウェーバーとテイム・ライスのコンビは、
ジーザス・クライスト・スーパースター」から始まりました。
出世作にして、完璧。
彼らのすべての作品のモチーフはここにあります。
テーマはずばり、「キリストの最後の7日間」。
「パッション」や「ダビンチ・コード」も真っ青の、聖書に対する新解釈であり、
ミュージカルというジャンルを越えて世界に風雲を巻き起こし、
以降の時代に拭い去れないほどの影響を与えました。
まずは1970年、ロック・アルバムが作成され、
翌71年、ロック・オペラとしてニューヨークで上演されます。
72年にはロンドン、
73年、日本では劇団四季が早くも日本で初演を果たしています。
その73年にできたのが、ノーマン・ジュイソン監督の映画です。
この監督は、「屋根の上のバイオリン弾き」の監督としても有名です。
日本での封切りは、翌74年でした。
映画はロック・オペラのすべてを完全パッケージにして、見劣りすることがありません。
その上、劇場では絶対できないことを敢行したのです。
それは、イスラエルでのロケ。
灼熱のナゲブ砂漠の向こうから、1台のバスがやってくる。
降りてきたのは、70年代風の若者たち。
「序曲overture」にのって、大道具小道具らしい荷物を次々に運び出し、
最後に大きな十字架を立てると、
そこにテッド・ニーリー演ずるイエス・キリストが、湧いて出たように現れる…。
このイントロを見れば、
もはやいかなる人も、これから始まる物語から逃れることができません。
常に「裏切り者」というレッテルで語られてきたユダ、
キリスト磔(はりつけ)を命じた「極悪人」ピラト、
彼らの内心の動きを、この物語はこまやかに描きます。
そして、キリスト自身の弱さ、人間臭さ、そして逡巡までも。
残念ながら、イチオシの1973年版映画は、VHSの製造が終了しているとのこと。
でも大丈夫。
きっと、あなたが初めて出会った「ジーザス」が、
あなたにとっての「イチオシ」になるはず。
なぜなら、「ジーザス」の魅力はすべて、
ティムの書いたリリック(歌詞)と、アンドリューの最高の音楽の中にあるから。
だから、映画であってもミュージカルであっても、どういうバージョンであっても、
このミュージカルから受ける衝撃の本質は、不変なのです。
劇団四季では、スタンダードな「ドラマティックversion」と
日本の衣装や歌舞伎メイクを駆使した「エキゾティックversion」があります。
隈取をしたヘロデ役の市村正親が、大八車に足をかけて撮ったポスターは有名ですね。
私が「ドラマティック」(キリスト役は若き日の山口祐一郎)を観たのは1987年です。
当時は、まだ「見比べる」という文化を知らず、またお金もなかったのですが、
「エキゾティック」も見ておくべきだったと後悔しています。
これから観る人へのアドバイス。
すべて、観るべし。何度も、観るべし。
できれば、英語のリリックを堪能してください。

舞台の最近記事

  1. 内博貴主演「シェイクスピア物語」

  2. 演劇界休刊の衝撃

  3. 動画配信を始めました。

  4. 「桜姫〜燃焦旋律隊殺於焼跡」@吉祥寺シアター

  5. 8月・カンゲキのまとめ

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。


Warning: Undefined variable $user_ID in /home/nakanomari/gamzatti.com/public_html/wp-content/themes/zero_tcd055/comments.php on line 145

PAGE TOP