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TMA Extra公演@シアタークリエ(1)

東宝ミュージカルアカデミー(TMA)の卒業生を中心にしたメンバーで、
東宝の手がけたミュージカルナンバーをぜーんぶご披露しますから!
その数なんと46作品82曲!…っていうステージが、
6/6(日)、東京・日比谷のシアタークリエで行われた。
出演者の8割くらいはこの3月アカデミーを卒業したばかりの4期生。
プロの世界のスタートラインに立ったか立たないか、の彼らに
どうしてこんな大きい舞台が用意されたか?というと、
ひとえに「放浪記」が休演となったから。
この休演のアナを埋めるため、
シアタークリエでは5月中旬あたりから、
急遽決まった演目がずらりと並んでいる。
人気ミュージカルのコンサート形式ステージなど、
今までにないステージが多くバラエティ豊かで、
クリエの小ぶりなステージに新境地を開くかもしれない。
禍転じて福となす、となるだろうか。
こうしたなかの1日を、TMAの彼らは幸運にも与えられたのである。
幸運でもあるが、
突然ふってわいた公演に加えて「82曲」を覚えなければならない。
そりゃ「さわり」や「さび」だけでおしまいのものもあるけれど、
短くても「ミュージカル」として成立する雰囲気をちゃんと作る。
一方ビギナーたち、やった経験のある曲なんて数えるばかり。
昔の演目など、「観たこともない」ものだって多い。
もちろんこのステージに向けて新たなステージングであることはいうまでもない。
それをほぼ1ヶ月で覚えて、歌って、踊って…である。
最高に大変だが、
最高に勉強になり、力のついた1ヶ月だったのではないだろうか。
とはいえ、お金をとるのである。
卒業公演はものすごい倍率の人気だが、所詮は「無料」。
「素人にケの生えたくらいの集団じゃ、観にくるのは関係者だけじゃないか?」
そう考える向きが多かったのは事実だ。
だが蓋を開けてみると、
当初の予想を軽く裏切って一般売りのチケットが大きく動き、
昼・夜の二回公演はすぐに満席。
6/5夜と6/6昼前のゲネプロ席も売るという事態になった。
ではこの

「Sing for the Future, Dance for the Future」
(以下SFF/DFFと略す)
1回約2時間、本公演3500円、ゲネプロ1500円のステージ、
お客さんの満足度やいかに??
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私が観たのは昼公演のゲネプロと夜の本公演である。
ゲネはあくまでゲネであって、本公演でどうだったかとは別物であること、
また所用があって昼公演ゲネは途中で抜けているので、最後の30分は見ていないこと、
などは割り引いて、おつきあいいただきたい。
今日は、この公演を打った意味についてだけ整理し、
レビューは明日から書くこととする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この公演の意味は、3つある。
1つは、TMA卒業生の動くカタログ。
舞台関係者に観てもらい、「うん、この子を使ってみたい」と思わせれば勝ちである。
この舞台製作に関わるスタッフにしても同じだ。
アカデミーで「生徒」として観ていた部分とはまったく違う一面が、
舞台で花開くということもあるので、
まさに「Future」発掘のためのステージというのが、第一義であろう。
2つ目は、「ミュージカル」そのもののカタログ。
これまで日本で行った有名ミュージカルをすべてやろう、という試みは、
これを考えついた山田和也氏のミュージカルへのオマージュであり、
また、ミュージカルというものを日本に初めて導入した東宝の矜持でもある。
今や劇団四季やホリプロなどで定番ミュージカルとなっているものにも、
「初めて」は東宝、という作品をわざわざ並べて披露したところなぞ、
老舗の意地さえ感じられる。
そして3つ目。
TMAという「学校」が「パフォーマンス集団」として名を挙げられるか。
卒業生の中から明日のスターが、というのは、TMAの本来の目的だが、
もちろん全員がプロとして長く生きていけるわけではない。
昨日の友は今日の敵、とまではいかなくとも、
オーディションを受けて役を勝ち得るということは、
他を蹴落とすことを意味する。
だから「TMA」としてみんなで一つの舞台を作り上げられるのは、
卒業公演1回こっきり。
この3月の卒公「レ・ミゼラブル」を見ながら、私もそう思っていた。
しかし
今回「TMAの公演だったらお金を出しても観てみたい」という人が
たくさんいた、ということである。
今はまだ5年目のTMAだけれど、
これから「TMA」をブランドにして、卒業生で公演を打つことができるか?
するとしたら、どんなスタイルで?
客演は必要か、必要でないか?
その意味でもこのコンサートは「for the Future」であったと思う。
さて、その結果は?
将来に向けての人材発掘には、非常に有意義だったと思う。
1期生から4期生の出演であったが、
かならずしも「先輩」ばかりがよかったわけでないところが
面白くもあり残酷でもあった。
素晴らしかった人たちを紹介しよう。
先輩格では
卒業してすぐ「屋根の上のヴァイオリン弾き」のチャバ役に抜擢された
3期平田愛咲が群を抜いてプロだった。
1期の竹内晶美も、すでに何本も出演しているだけあって、
曲を完全に理解し、自分の解釈で独自の魅力を溢れさせる。
スタイリッシュで声もよく、逸材。
平田が直観的に舞台で生きるとすれば、竹内はすべて計算されている感じだ。
同じく1期の船田(正しくは舟に公)智香子は、
他の誰とも異なるスタンスで、真の舞台人である。
そのことは、次回詳しく語りたい。
4期では
入学当時から存在感があり、現在アドバンスで学ぶ塩坪和馬
声量、表情、体の動き、すべてにおいて光っていた。
同じくアドバンスの岡井結花は「Nine」の「フォリ・ベルジェール」を披露、
この曲だけを見れば、彼女はどんなプロにも負けない。
しかしそれ以上に実力を感じさせたのが、
平川めぐみ、山岸麻美子、横岡沙季。
4期は何度も見ているのに、今まで気がつかないで、本当にごめんなさい!
平川めぐみは、歌にこめる感情の襞の細やかさに舌を巻く。
山岸麻美子は、ソウルフルな歌を歌わせたら右に出るものはいない。
横岡沙季は、天才かもしれない。
「踊り明かそう」のような素直な楽曲から
「オール・ザット・ジャズ」などクセのある楽曲まで、
もっといえばサウンド・オブ・ミュージックの子どもの役から娼婦役まで、
最初の1音で観客をひきつけ、最後の1音でのけぞらせるだけの力の持ち主。
失礼だが、何のへんてつもない女の子にみえるのに、
「役」になって歌いだしたその途端に、オーラが見える。
北島マヤ的な魔力を感じる。
彼女はTMAに入る前、歌もダンスも特別な教育は一切受けたことがなく、
楽譜に至ってはまったくといって読めなかったというのに、
入学当初から何でもよくできたという。
……と、ここまで書いて、
「あ、そうだ、レビューは明日だったっけ}と思い出す。
つづきは、また明日。

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