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神田瀧夢に会ってきた

現在、出演している映画「インフォーマント!」のプロモーションで、里帰り中の神田瀧夢。
彼は役者として夢を抱いて渡米、
苦労の末、いくつかの役を獲得するものの、
ガラスの天井は厳然とある社会でビッグになるのはそうたやすいことではない。
そんななかStand-up Commedyの大会で優勝し、その道でじりじりと人気を高め、
ついに
「I Survived a Japanese Game Show」というクイズ番組の司会に抜擢された。
外国に旅行したことのないアメリカ人を日本に連れてきて、
フレンドパークと風雲たけし城とウルトラクイズを足したようなゲームをさせて、
負けたら即帰国、勝てばおよそ2500万円獲得、という番組である。
今アメリカで一番売れてる日本人、と、
NHKをはじめ、さまざまなメディアが彼の話題を取上げ始めた。
その神田瀧夢が私の知人と親しいことが判明、
今夜急遽、
渋谷のアイリッシュ・パブでのパフォーマンスを見た。
彼だけでなく、
数人の「コメディアン」が入れ替わり立ち代り披露する
英語の「Stand-up Commedy」。
いわゆる「漫談」である。
結論。
人を笑わせるっていうのは、ほんとに難しい。
客の反応は正直だ。
たった数分のパフォーマンスであっても、
客の視線を独占できているかいないか、雰囲気でわかる。
当夜は私のような神田瀧夢見たさの日本人が異常に多く、
きっといつもと勝手がちがっていただろう。
英語の漫談には不利な条件が重なっていたかもしれない。
瀧夢さんも、日本語で背景を説明したり、
「LAじゃここで笑うところなんだけど」などといいながら
苦労して話を進めていた。
たしかに細かいところではコトバの壁があるだろう。
しかし、
本当の壁は、文化の違いなのだと思う。
笑いにはいろいろな種類があるな、と感じた。
文化によって、笑いどころがちがう。
私にとって今夜のパフォーマンスの中には
「そのネタ、笑えるネタ? 笑っていいネタ?」みたいのもたくさんあって、
ふーん、
ガイジンさん(英語圏の)って、こういうのが好きなんだ、と、ただただびっくり。
いや、日本にいるガイジンのツボ?とも思う。
異国にいて、同じ笑いのツボでリラックスしたい、という気持ちや
この国に対して、この国の人間に対して感じていることを共有したい思いや、
そんな場でもあるように思ったからだ。
そんななか、
明らかに話がスベってしまったとき、
パフォーマーがとった行動のパターンは二つ。
一つは、観客の反応ムシで、シナリオどおり進める。
これは、日本人パフォーマーに多かった(もちろん、彼らも英語)。
すべってもすべっても、どこまでもマイペース。
そのうち客も慣れてきて、
「おお、いまのネタはまあよかった」的な拍手と笑いのおすそわけ。
もう一つは、万国共通の笑いのツボにまっしぐら。
つまり、お色気下ネタである。
これで、場の雰囲気はかなりほぐれる。
ほぐれたところで本題(あるいは自分のテリトリー)に戻れる人は、
きっと実力者だろう。
しかし、
多くのパフォーマーはそこから抜け出せない。
安易に下ネタを取り入れるのは非常に危険だと感じた。
実は、
私が今夜一番面白いと思ったのは、
MCをやっていたDaveさんという人のしゃべくりだ。
客がステージに注目するよう工夫してしゃべる。
「日本に来て3年以上の人~!」「アメリカから来た人~!」
みたいな感じで盛り上げて、
あとは次のパフォーマーを紹介したり、
パフォーマンスが終わったときに、短く感想を言ったりするだけ。
でも面白い。
そこには「ネタ」だけで勝負しようと意気込んでいた人たちとはちがい、
「話芸」に一日の長があったのだと思う。
人前で一人で語るといっても、
そこにはおのずと聞く人間との間に、間合いが必要となる。
単に「間をあける」呼吸ではなく、
「間合いをはかる」呼吸。
その技術と、その間合いを必要だと思う思想が、彼のしゃべくりにはあった。
日本でも、一流のお笑い芸人は司会業に転進していく。
島田紳助なんて、もうステージで漫才とか漫談とかコントとか、
そんなもんやってるところずーっと見てない。
でも、彼のしゃべくりにはいつも笑わされるし、さすがと感じる。
その理由がこのアイリッシュ・パブでわかった。
神田氏を司会に起用し成功している理由について
「彼がアメリカ人を笑わせるツボも、日本人を笑わせるツボも知っているから」
と番組のスタッフは見ている。
彼の、
客を笑わせようと、笑ってもらいたい、という
一生懸命なそのテンションの高さを
きっと人は愛するのだと思う。
気さくで太っ腹な性格が、パフォーマンスににじみ出る。
かなりの毒舌を
「ジョークですよ~、ジョークですからね~」っていう後始末で薄めていく。
ちょろちょろっていう後始末の中に、
彼の「間合い」が入っている。そこが、彼の持ち味かもしれない。
自分は自分、自分で勝負という神田。
尊敬する先人とか、目標とする芸風とか、そういったものはないという。
「敢えていえば、たけしさんみたいになれたらな、とは思う」そうだ。
たくさんの大変な目にあってきただろう
アメリカでの幾星霜。
頼れるものは自分だけ、信じるものは自分の感性だけ。
そんなギリギリのド根性もまた、
彼のオーラを形成しているような気がした。
そして私は帰る道々、
気がつくと落語のことを考えていた。
単純だけど奥深い、落語の世界。
昔の落語家が残したちょっとしたエピソードを書いたものを
読んだだけで笑いが出てしまう、これは一体何なんだ?
笑いって、本当に得体が知れない。
うーん、深いな~。

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