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太宰治生誕百年@斜陽館

とうとう来ました!斜陽館
太宰治の生家は、
戦後まもなく人手に渡り、
一時期は旅館として使われていました。
「斜陽館」とは、そのときの旅館の名前です。
今は自治体(旧金木町→合併後は五所川原市)に買い取られ、
維持管理されているとともに、
国の重要建造物としても指定されています。
なぜかといえば、それは
作家・太宰治の生家だからというより、
ものすごーく立派なおうちだからなのであります。
斜陽館の概観は、いろいろな媒体でお目にかかることが多いですが、
中に入ってビックリ!
広さだけでなく、建築に使っている素材(床材、レンガなど)、
意匠(明治初期の和洋の建築技術の粋を集めた)、
装飾・小物(欄間の彫りから襖絵からインテリアから)、
どれをとっても一級品なのであります。
今まで私が見学したことのあるものの中では、
東京・白金にある庭園美術館(旧浅香邸)、
東京・上野にある旧岩崎邸庭園
福島・猪苗代にある旧有栖川宮家別荘の天鏡閣
に匹敵する、いやほんとに勝るとも劣らない造りです。
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「金木は、私の生れた町である。
津軽平野のほぼ中央に位し、
人口五、六千の、これという特徴もないが、
どこやら都会ふうにちょっと気取った町である。
善く言えば、水のように淡白であり、
悪く言えば、
底の浅い見栄坊の町という事になっているようである。」

小説「津軽」の序編冒頭近くにあるこの文章の
「ちょっと気取った町」という形容の意味は、
この斜陽館の中を見ると非常に実感がこみあげてきます。
皇族でも、藩主でも、財閥でもない、
失礼ながら東北の片田舎の一地主でしかない津島家が、
これほどの家を持っていたなどと、
いったい誰が想像したでしょうか?
家の中には銀行の執務室まで造り、
家の周りには警察署から消防署から病院から、
ありとあらゆる公的機関をとりそろえ、
津島の家は、まさに金木王国の中心地。
王様の名前は、津島源右衛門。
東京に出た太宰治はさながら、
ロンドンに留学したインドのマハラジャの息子だったのです。
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6月19日は、彼の誕生日であり
かつ彼の遺体が玉川上水で発見された日でもあります。
今年は生誕百年ということもあり、
金木の記念館でも5月6月は、
記念の展示もしています。
もしあなたが
一度は太宰の作品に心酔したことがあるのなら、
どんな些細な機会をとらえてでも
一度斜陽館を訪れてみてください。
そして、
改めて彼の小説をひもといてみてください。
彼が抱いた東京への憧れとコンプレックスと
そうはいっても誰一人、
自分の金木での生活に比べれば、
その東京での日常など「たいしたことない」というプライドと、
そのギャップに当惑して身悶えする
太宰の薄笑いが行間からたちのぼってきます。

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