今週末から始まる映画から、一つ紹介。
「それでも生きるこどもたちへ」
ジョン・ウー(中国)、スパイク・リー(アメリカ)、リドリー・スコット(イギリス)など、
各国の有名監督が、「子どもたち」をテーマに短編を提供しています。
もっとも衝撃的なのは、メディ・カレフ監督(アルジェリア)の「タンザ」。
監督が街で見かけてスカウトしたという少年ビラ・アダマは、
絶望の中で生きる子どもの緊張を、これでもかというほどリアルに表している。
特に、小学校を爆破しようとするラストの数分は、目が離せない。
作品として、もっとも完成度が高かったと思うのは、
ジョン・ウー監督の「桑桑(ソンソン)と小猫(シャオマオ)」。
テーマの性質上、ドキュメント・タッチのものが多い中、
唯一「寓話」としての世界をパーフェクトに形成、
美しい映像の中に子どもの、そして大人の心のヒダが刻まれ、
観終わった後の感慨が深い。
スパイク・リー監督の「アメリカのイエスの子ら」は、
また別の意味で衝撃的だ。
世界の大国、自由の国アメリカで、
いまだにHIV感染者がこんなふうに見られているなんて。
「ブルー・ジプシー」(モンテ・ネグロ)、「ビルとジョアン」(ブラジル)、
「ジョナサン」(イタリア)などが、
行き場のない子どもたちのささくれた日常を描きながら、
どこか楽天的で生きるエネルギーに溢れているのに比べると、
アメリカを哀れにさえ感じてしまう。
子どもは誰でもキラキラした可能性をもっている。
その「キラキラ」は、
どんな状況にあっても、ちょっとしたことで浮かび上がってくる。
その一瞬をとらえた短編の数々。
「人間がいるからいけない。人間なんて、滅びちゃえばいいんだ」
というのはたやすいが、
この子たちに、ちょっとでもいい「未来」をあげたくなる、そんな映画だ。
オトナがしっかりしなくちゃ、ね。
6月9日から、東京・渋谷のシネマライズ他で、全国公開。
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「それでも生きる子どもたちへ」
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