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「リトル・チルドレン」

今日から封切られる「リトル・チルドレン」。
これ、いわゆる「専業主婦」と「専業主夫」の恋物語。
二人で家事だけやっていたら食っていけませんから、
モチロン不倫。
家事と育児に疲れた主婦の理想のオトコは、
夫より収入があるとか、社会的地位があるとかじゃなくて、
自分の日常の大変さをわかり、分かち合ってくれ、
子どもとの時間を一緒に過ごしてくれるというのが
今や必須条件になっているのかもしれません。
(イケメン志向は、いつの世も変わらず)
ここでビックリしちゃうのが、
主人公のサラが公園に子どもを遊びに連れて行く冒頭のシーン。
これ、アメリカの話?っていうくらい、日本とそっくり。
そこの公園を牛耳っているリーダー的ママがいたり、
子どもが遊んでいる間、
子ども抜きだったら絶対友だちにならないママ友たちと
にこやかにおしゃべりしなければならないところ、
ちょっとした「自己主張」が
その場の雰囲気を壊してしまうところ、などなど。
夫の意向で転居が決まり、キャリアを諦めて子育てに専念する。
専業主婦の暮らしの中でも、自分らしさは演出できる、
はず、だったのに・・・・・・。
専業主夫のブラッドは、司法試験合格を目指し、浪人中。
映像プロデューサーの妻が家計を支えている。
日本で言えば
「あなたには、才能がある。受かるまで私が支える!」タイプの妻。
ただ、女はおカネに細かい。
「この雑誌の定期購読、本当に必要?」
いちいち出費に「必要か否か」を聞いてくるところは、
自分の収入がゼロの身にはツラい。わかる、わかる。
ブラッド、そんな妻にとってもいい顔してるけど、
ほとんど勉強してない。
期待されすぎるっていうのも、身の置きどころがないというもの。
自分の未来が描けないモラトリアムな「リトル・チルドレン」男女の恋に、
バラ色の未来はあるのか?
そこに織り込まれるのが、
「性犯罪者が出所して近くに住む」という戦々恐々な毎日。
公園で遊ばせたい年頃の子どもを持つ親にとっては、
日本でも決して他人事ではない。
過剰反応か?
当然の生活防衛か?
そして出所者は、刑を全うしても反省しても、自分の未来を描いてはいけないのか?
ここにも大人になりきれない大人の物語がからんでくることで、
この映画をただの「公園デビュー昼メロ」に終わらせない。
ケイト・ウィンスレットのオーバーオール姿が
自分の「最初の子を産んで2年目」くらいの自分と重なる。
子ども、子ども、子ども。
自分で選んだ道だけど、本当のところでは納得していない生活。
彼女の生気のない後ろ姿が、すべてを語っているような気がした。

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