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「地獄の黙示録」


地獄の黙示録#特別完全版
「機関銃をぶっぱなしておいて、負傷者を必死で病院に運ぶ。
これは欺瞞だ」
映画の中に出てくるセリフである。
アメリカの思考回路を、ズバリ言い当てていると言えよう。
ベトナム戦争を描いたこの作品は、1979年、50分も縮められて公開された。
カンヌ映画祭グランプリを獲得したとはいえ、
この作品の真価は、本当のところ、当時理解されなかったと思う。
その映画が、2002年完全版として再び世に出される。
大画面に映し出されたフランシス・コッポラ監督渾身の作品は、
「黙示録」という名にふさわしい美しい映像詩であった。
20年前「わからない」と思っていた部分も、きちんと話がつながってよく理解できた。
ほとんど全てカットされていたフランス人のプランテーションでのシーンが印象的だ。
その土地を愛して住む人と、意味もわからず破壊を命じられて来た人との違いが、
静かな会話や情景から浮かび上がってくる。
そして、ジャングルの奥地まで来る「慰問団」。
金髪・ミニスカの美人につかの間でも戦争を忘れる兵士たちは、
「サーフィンしたいがために一つの村を殺戮する」加害者であると同時に、
個を抹殺され、殺し屋として見知らぬ土地に送り込まれた奴隷のような被害者でもある。
哀れ。
「DVDという媒体によって長さに関係なく販売が可能になったことで、
ようやく完全版を世に出すことができた」と監督。
完全版が公開されたのは、2002年である。
イラク戦争があり、9.11があり。
アメリカ人はどんな気持ちでこの完全版を観るのだろう。
「空爆をしておいて、食料を落とす。それは欺瞞だ」

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