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「大草原の小さな家」


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1975年から82年にかけて、NHKで放送したアメリカ開拓時代のお話。
ローラ・インガルス・ワイルダーの自伝的小説をドラマ化したもので、
当時から絶大な人気を誇り、何度も再放送された。
シリーズ化され、
主人公のローラ、姉のメアリーを演じる子役の成長が
そのまま物語の時の流れと重なる形で、
日本でいえば、
「渡る世間は鬼ばかり」がこの形を踏襲している。
放送開始当時、同級生の男の子が
「毎週水曜日は、心が洗われるんだよなー」としみじみ呟いたことを、
今でも覚えている。
いたずら好きだけど純真なローラのナレーションが、またよかった。
原作では「Pa」となっている「Father」の田舎風な呼び方を
「父さん」と訳したところがこの物語の世界観を作ったといえる。
・・・・・・とか偉そうに言っているが、私は原作をほとんど読んでいない。
なので、以下はテレビシリーズだけの感想。
この話のキモは、やはりその「父さん」だろう。
東部出身の教養人で、信仰篤く偏見もたず、バイオリンがうまい。
前途洋洋だったはずなのに、何を思ったか裸一貫で西部開拓に乗り出す。
私は、彼が篤信のあまり、
自分の裕福さにがまんができなかったのだと理解している。
「持てる者」は、それだけで罪なのだ。
「持たざる者」こそ幸いかな。それは、太宰治にも通じる罪悪感だと思う。
一家をひきつれ、自給自足の貧しい生活の中に、
彼は心からの幸せと解放感を見出しただろうか?
一見のどかでのびのびして幸せそうな一家を
これでもかというほど不幸が襲う。
「父さん」は「こんなに神様に尽くしているのに」とよく文句をいうが、
どう折り合いをつけたのか、また神の御胸に自らを委ね、
再び敬虔で穏やかな生活に戻っていく。
「父さん」役のマイケル・ランドンは、ディレクターもやっていて、
番組制作に深く関わっている。
シリーズ終盤、ランドンの私生活にも変化があった。
がんに侵されたのだ。
それも影響したのか、不治の病にかかった養子の男の子を、
「聖書の通りにやるんだ」と言って連れ出し、
二人で石の塔を築き籠ってしまう段は、
ローラや母さんならずとも、
「父さん、どーしちゃったのー!?」の様相を呈した。
あれから20年たち、いろいろ人生経験を積むと、
ランドンも苦しんでいたんだな、と振り返られるようになった。
シナリオで「父さん」にいつも試練を与え、
「こんなに神様に尽くしているのに」の状態から信仰を回復させていたランドン。
あの時、初めて彼に、「父さん」の気持が心からわかったのかもしれない。
あの石の塔は信仰の賜物ではなく、
神への挑戦だったようにも思う。
「聖書を、あんたを、信じきる。今度はあんたの番だ」
先の見えないものを、形にするのは、本当に難しいものだ。
そのシリーズの放送が終わるか終わらないかで、
ランドンは逝ってしまった。
2005年にリメイク版が作られ、日本でもWOWOWで全3話が放映された。
私にとって、ランドンのいないインガルス物語は、
ちょっと考えられないので、未見。
見た人の感想では映像がとてもきれいだし、丁寧なつくりとのことです。
原作本もどうぞ。

大草原の小さな家

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