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桑田投手「熱投の秘密」

1月23日(水)付の朝日新聞朝刊に
全国高校野球選手権大会が今年の夏90回を迎えることを記念して行われた
シンポジウム「熱投の秘密」(@NHK大阪ホール)についての報告記事がありました。
当日は、1269人の高校生と、277人の指導者が集ったそうです。
かつて清原和博選手とともに、PL学園の選手として高校野球の寵児であった桑田真澄選手。
彼が体格的にもさして恵まれない中、
いかにしてコンディションを維持し、活躍し続けたか。
その話の中には、彼の「自分をみつめる眼」の確かさ、厳しさがつまっていました。
高校生というと、監督の指示を守って動く、というイメージがあります。
しかし、
桑田は並の高校生じゃなかった!
「高校3年の春、肩がおかしい時期があった。
監督に話して、一切ボールを握らずランニングだけした。
目先の一勝も大事だけど、将来はもっと大事です」

変化球を自在に操る桑田選手、高校時代は敢えて直球とカーブだけで勝負した。
「スライダー、フォークも投げられましたが、将来を考えて、あえて無理はしなかった。
まっすぐとカーブだけだと、ピンチもたくさんあった」

清原から「スライダーを使えばうたれへんで」と言われたこともあったけど、
そこは技術よりも心を育てよう、
一球入魂、精神力でカバーと思ったそうです。
「(ある程度の投げ込みは大事だが)1ヵ所に負担がかかるフォームでずっと投げると、
必ず故障する。体全体を使う意識で投げること。
20歳くらいまでは成長するので、この時期に絶対無理してもらいたくない」
(会場の高校生に向かって)君たちは球界の宝物。ぼくの大切な後輩でもある。
痛い時は勇気を持って指導者に報告する。
絶対に高校野球でつぶれないで下さい」

桑田選手は1968年生まれです。
彼が少年野球をやってきた時代は、
「スポーツ障害」という言葉も聞かなかったし、
高校野球の準々決勝は1日に4試合あって、
組み合わせによっては三日連続で完投する投手もいたし、
多少痛いところがあっても「根性で投げとおす」のがエースの義務であり誇りと思われていた。
鬼とも神とも言われ、生活の全権を掌握している監督に向かって、
「肩がおかしいので、休ませてください。ボクは試合には出ません」なんて、
堂々と言える高校生、当時はいなかったんじゃないかな?
「常勝」の名門校なら、なおさらのことです。
その心の強さに、驚愕してしまいました。
彼は「一球入魂」「技術よりも心」と、その時代のスポーツ精神を今以上に持ちながら、
体のケアについては高校生にして、そこらの指導者よりずっと最先端を行っていた。
その明晰さ、大局的な視点に敬服。
彼が40歳の今、まだまだ現役で、さらなる高みに挑戦できるのは、
こうした日々のケアの積み重ねの賜物なんでしょうね。
よく「自分の体の声を聞く」という言い方をするアスリートがいます。
彼も、「選手本人が自分が今どういう状態かを把握すること」が大切だと言っています。
考えて運動する、そのプロセスの合理性に舌を巻きます。
では彼は、完璧を目指しているのか?
いやいや、そうではないところが、また素晴らしい。
「(話したいことの一つは)失敗してもいい、ということ。
 野球は失敗するスポーツ。マリナーズのイチロー君だって、6割、7割は打てない。
 半分以上はミスをする。
 投手だって構えたところに100球投げられない。半分以上ずれるんです。
 大事なのは起きあがることです」

一時期は「投げる不動産屋」などと言われ、演歌の千昌夫と並んで揶揄されたこともある桑田。
山あり谷ありの人生を送りつつ、
「失敗しても起きあがる」根性を持っていたから、今があるんですね。
*第一部が桑田氏と越智隆弘連盟副会長の対談、
 第二部が立花龍司コンディショニングコーチによる指導
 第三部は座談会で、第三部の報告は1/29に掲載予定。

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