「リチャードを探して」は、アル・パチーノ主演。
ドキュメントタッチの映画です。
シェイクスピアの「リチャード三世」をやるために、
役者たちがテキストについて論じあったり、ロケハンしたり、場面を演じたりします。
私が特に好きなのは、夫の柩の前で未亡人になったばかりの女性をくどく場面。
リチャードは見映えもよくないが、何といっても夫を死に追いやった張本人。
自分を憎み蔑んでいる未亡人を、リチャードはいかにたらしこんでいくか??
跪き、しがみつき、哀願し、「あなたが好きだから、夫を殺した」とまでいうリチャード。
誇り高く、「お前なんか!」と公言してやまない未亡人が、
いつしか心をほだされていくのです。
ありえないシチュエーションのはずなのに、うそっぽくない。
私でもフラッといきそうです。
いろんな「リチャード三世」を見ましたが、この場面にこれほど説得力があったのは、
はっきりいってアル・パチーノのリチャードだけ。
「男の魅力とは何か」「権力とは何か」「愛されることは武器か」
いろいろと考えさせられました。
一つお断りしておきたいのは、
これはいわゆる「メイキング」ではないということ。
「芝居を作るために、俳優は、映画監督は、何にこだわり、それをどう具体化しているか」
それを映像にした映画です。
特に、シェイクスピアという巨匠に対峙するとき、
作品として残る二時間三時間には、彼らの舞台人としてのすべてがこめられている。
そこがわかる映画です。
リスペクト。
ひるがえって「メイキング」。
舞台あるいは映画を作り上げるまでの過程を撮影し、それを「商売」にする、という行為が、
今では当たり前になっています。
DVD発売の時は、それが特典映像として付けられていることもありますね。
メジャーな映画になると、封切りの前に長々と特番でメイキングを流します。
中には、「ここまで見せられちゃったら、もう映画館に行く意味あるの?」
と、へきえきするほどの番組もあります。
私としては、メイキングは映画の後で見たいな。
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