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「ボウリング・フォー・コロンバイン」


ボウリング・フォー・コロンバイン
マイケル・ムーア監督の名前を一躍有名にしたドキュメンタリー映画。
つなぎのジーンズに野球帽、ヒゲもじゃ・小太り、
どう見てもブルーカラーのむさくるしい若造が、その風貌を利用して相手を油断させ、
大企業や政治家の本音を引き出す、そのゲリラ的手法と巧みな演出が、彼の持ち味です。
「ボクも中西部生まれ、ライフル協会の会員です」
これが殺し文句となって、セキュリティの厳しいライフル協会会長の家に堂々と正門から入り、
インタビューに成功するマイケル。
最初は仲間と思って無防備な笑顔と意見を振りまいていたのが、段々鋭い質問に表情を凍らせていく。
そのすべてが、カメラに収められています。
「1市民」と「大アメリカ」という対峙のしかたが、ムーア監督の独壇場であり、
映画に大きな魅力を与えています。
町のボウリング場でボウリングを楽しんだあと、
「いっちょ行きますか」とばかりにコロンバイン高校に銃撃へと向かう少年の心理は、
一体どこからくるのか?
アメリカではまた、大学構内での銃乱射事件が発生し、30人以上が亡くなってしまいました。
全国民が事件のたびに「衝撃」を受けながら、「銃社会の容認」という根本は揺るぎそうにありません。
まるでガムかチョコレートのように、スーパーや理髪店で弾丸が買えるという社会にこそ、
問題が潜んでいるというムーア監督の主張は、
アメリカの根本的な問題に触れる大テーマです。
追加で・・・
「華氏911」では、ビッグになりすぎ、「面が割れた」ムーア氏への警戒も強く、
ゲリラ的取材の醍醐味は薄れてしまった感があります。
その分を「演出」で補おうとして、
フィールドワークに支えられた本来の彼の底力が見えなくなってしまった気がします。
ただ、「作った」ことの意義は大きい。
「1市民」が「大統領」に物申す、というやり方は、ムーアの信条ですから。

華氏911 コレクターズ・エディション

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