木暮実千代、若尾文子主演の芸者もの(昭和28年)。
とにかく、木暮が輝くばかりに艶っぽい。艶っぽいけど品がある。
花街の、男が女をどうものにするかという話を描きながらも、
溝口監督はいわゆるメロドラマだけに終わらせない。
たとえば
「外国からの観光客は、フジヤマ、ゲイシャを日本の文化だと思って来る、
言ってみれば無形文化財みたいなもの。
せいぜい精進して、芸を磨きなさい」と、
茶道の先生からはっぱをかけられるところがある。
「戦争が終わって新憲法のもと、芸者にも基本的人権はある。
いやな男に言い寄られたら、訴えてもいい」
お花のお師匠さんと、そんな話をするところもある。
しかし、実際の祇園にそんなことは通用しない。
通用しないが、それでいいのか?
そう思わせる力が溝口にある。
木暮実千代の背中が泣いている。
弱いものは、肩寄せあって生きていくしかない。
吹っ切れた木暮が、妹分の若尾文子に
「今日からウチがあんたの旦那や」という、ラストシーンが好きだ。
50年以上前の映画だけれど、八坂神社や小路のたたずまいなど、
変わらない京都の悠久さも堪能できます。
まだ少女のような若尾文子の輝きも素敵。
*2006年9月11日のMixi日記をもとに書きました。
恵比寿ガーデンシネマでの上映スケジュールはこちら。
2/21、22の二日間だけなので、ご注意ください。
また、収録されているDVDは溝口健二 大映作品集vol.1 1951-1954
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