「ダブル・ジョパティ」は、
夫殺しの罪をきせられ、無実なのに刑務所行きとなった女性・リビーの物語。
その服役の間に、親友に預けていた最愛の子どもの所在がわからなくなり、
彼女は必死で行方を探します。
その過程で、彼女は夫は生きており、自分は罠にはめられたことを知るのです。
そして、「一人の人間は、同じ罪で二度裁かれない」という
二重処罰禁止の法律「ダブルジョパティ」を逆手にとって、
リビーは夫への復讐を企てます。
封切り当時予告編を見て、ものすごく見たい!と思った映画ですが、
サスペンスとしての構成より「母にとって子どもはすべて」的な要素が強く、
ありがちといえばありがちなストーリーで、あまりヒネリはありません。
正直、期待していたほどの気持ちの昂揚(?)は望めませんでした。
それより私がこの映画を見て、一番怖くなったのは、
「社会保険番号とインターネットがあれば、いかなる人間も身を隠すことはできない」
という事実です。
「個人情報ですのでお教えできません」と断っていた銀行窓口の女性も、
「お前の前科をばらす」とか刑事(トミー・リー・ジョーンズ)言われちゃうと、
あっさりメモ渡しちゃったりするわけ。
コワイ、コワイ。
社会保険番号さえ手に入れれば、アメリカのように広い国土であっても、
身を隠すことが困難になる。
どこかで公的なサービスを受けてしまうと記録が残る。
店で買い物する時も、必要であれば提示させられるわけで、
もう、ホントに八方ふさがり。
「悪いことしなければ、逃げ回ることもないじゃん」
などと他人事と思っているアナタ。
リビーだって、無実なのよん。
この映画が公開されたのは1999年。
今、日本ではずさんな年金管理の問題がクローズアップされて、
住民基本台帳を使って「宙に浮いた年金番号」の確認作業をしようという話になっています。
一時期、マスコミを筆頭にこぞって反対した「1億総背番号制」。
これは、当局にとっての情報統制に本当に有利なんだなー、と
ひしひしと感じる映画です。
今、ニュース番組を騒がせているストーカー警官なんか、
職権を思いっきり濫用して女性をがんじがらめにしていたわけで、
この「ダブル・ジョパティ」みたいな世界(法整備的には現実のアメリカ)になったら、
いよいよ警察官には身を律していただかないと、
一般住民は、どうしてよいかわかりません。
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