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「ツリー・オブ・ライフ」

カンヌ映画祭でパルム・ドール賞を獲得!
ブラッド・ピット、ショーンペン出演!
監督は伝説のテレンス・マリック!
鳴り物入りで公開された「ツリー・オブ・ライフ」。
観に行ってきました。
すごいです。
映像がものすごくシャープ。色彩が美しい!
他の映画と同じカメラで撮ったとは思えないくらい。
映像に関心を持っている人は、絶対観るべきだと思う。
どうやったらこの色が出せるの?
どうしたらこのカット割りを思いつけるの?
今まで観たことのないものを見たような気持ちになりました。
もう一つの特徴が、セリフの少ないことです。
というか、
これは、主人公ジャック(ショーン・ペン)が
自分の心と対話する物語なので、
ほかは心象風景であり、自分が頭の中で考えていることが
映像となっていくわけです。
昔のことを思い出すところでは(そのとき、ジャックは子役)
それは「事実」や「記憶」なので
父親のブラピなどとの会話があるシーンとして成立しますが、
ほかは「不安な気持ち」であったり、「無限とは何か」であったり、
「神はどこからくるか」であったり、
「この世はどうやってできたか」であったりして、
それはそれは哲学的な問いかけを映像化しているわけです。
それを面白いと思えるか否かで、
この映画の評価は分かれるのだと思います。
でも。
幼い頃に感じた親への反発とか、
そうはいっても親に愛されたい(たとえば兄弟の誰よりも愛されたい)思いとか、
兄弟げんかの後の気まずさとか、
住み慣れた家を離れなければならない寂しさとか、
悪いことをしてしまった後の泣きたくなるほどの恐ろしさとか、
そういうことを、大人になって振り返って、
自分の浅はかさを思い知ったり、
親を親としてでなく、一人の人間として見られるようになり、
親は親で、思い通りに行かない人生の中でもがきながらも
必死に子育てをしようとしていたな、とその背中が突如見えてきたりして、
でも今さらそれがわかってもすでに取り返しがつかなくて呆然としてみたり、
逆に昔は思いもつかないところに救いを見出したり、
絶対に許せないと思ったことが許せるようになったり、
自分の情けなさを受け入れられるようになったり、
そういう
心の動きをスクリーンに映し出してくれる映画です。
キリスト教(特にヨブ記)をテーマに据えていますが、
キリスト教と関係なく、入っていけると思います。
もっと大きな、宇宙的な、超自然的な規模で、
「自分を超える何か」をみつめ、「自分」をみつめようとする映画です。
生きるとは、なぜ苦しいのか。
あんなにもきらきらとした時間があったはずなのに。
そんなことを真正面から問いかけていく、映画です。

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