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「スラムドッグ$ミリオネア」

人生がくれた「ファイナル・アンサー」
監督:ダニー・ボイル
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
ストーリー●
インドの人気テレビ番組「クイズ$ミリオネア」は
その夜、最高の盛り上がりを見せていた。
ムンバイのスラム街で育った無学の青年・ジャマールが、番組至上初めて、
あと1問で全問正解というところまでたどり着いたのだ。
しかし彼は不正な手を使ったと疑われ、警察に送られてしまう。
厳しい尋問を受けながら、ジャマールは解答できた理由を1問1問語り始める。
そこには、インドのスラム街にある厳しい現実と、
彼の目指す幸せとが秘められていた。
(4月18日より全国公開)
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暴動に巻き込まれ、孤児となったジャマールと兄サリームが、
やはり孤児の女の子ラティカと3人で、
スラムと裏社会を生き抜く話である。
あるときは離れ、あるときは再会しながら3人が直面するエピソードから、
インドの「今」が透けて見える。
長じたラティカが「夢くらい見てもいいでしょ」とうつろな目でみつめる番組が、
「クイズ$ミリオネア」なのだ。
日本でもみのもんた氏の司会で有名だが、
世界80か国以上で放送されてきたという。
あの「ファイナル・アンサー?」という言葉も、セットも音楽も
驚くほど変わらない。
変わるのは、賞金金額だ。
日本では1000万円だが、なんとインドでは日本円にして約4000万円!
「一攫千金で人生大逆転」番組が人気なのは、
現実の社会に機会均等がない裏返しでもある。
イギリス映画だが、
音楽も含め多分にインド映画の熱気を帯びた作品だ。
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以上が、
雑誌「Wife」「気ままにシネマナビ」に書いたレビューです。
今期アカデミー賞で各部門最優秀賞総なめだった
「スラムドッグ$ミリオネア」の封切りが
いよいよ明日に迫りました。
とにかく「活気」と「エネルギー」に満ちた映画。
たとえスラムであろうが何だろうが、
大人も子どもも前を向いて生きていく。
今そこにある「楽しみ」を精一杯楽しむ。
そうした理屈なしの生命力が、この映画には溢れています。
アカデミー賞の授賞式で、
最優秀音楽賞に輝いたラフマーンのメイン・ミュージックを聞き、
あの太鼓のリズムや朗々としたメロディに体が勝手に動いてしまった人も
多いと思いますが、
出だしからガンガンいきますよ~。
そこに「クイズ$ミリオネア」をかぶせた構成力が
この映画を垢抜けさせているのでしょうね。
この「枠」があってこそ、二重三重のスリルとサスペンスが味わえ
「どうなるんだ?」のハラハラがスパイスとなって見る者をひきつけます。
マッチ売りの少女ではないけれど、
出題の一つひとつをきっかけに繰り広げられるオムニバス、のようになっていて、
最終問題で
番組も、ジャマールの人生も、映画も、
道筋が一つに集約されていく手法。
よくあるパターンかもしれないけど、「なるほど、そうきたか!」のまとまり方で、
小気味いいです。
苦しいこともたくさんあるけど、ハッピーになれる。
このインド映画の勧善懲悪と生命賛歌にこそ、
人間の求める娯楽と癒やしがあるんじゃないか?
そんなふうに思ったイギリス人が作った映画、ともいえますね。
世の中、先が見えずに気持ちが暗くなることの多い今日このごろ。
「まっとうに生きていれば、いつかいいことがある!」と
元気をもらえます。
ちょっとしたインド映画入門編ともいえる。
映画館を出たとき、顔がほっこり笑ってる、そんな映画です!

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