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「バンガー・シスターズ」


若かりし頃、ロック・バンドのおっかけをしていたスゼット(ゴールディ・ホーン)。
どんなにご執心だったかといえば、彼らのベッドの中まで「おっかけ」ていたくらい。
こりゃあ、フツウの「おっかけ」とはワケが違う。
そういう人たちのことを「バンガー・シスター」というらしい。
「ヤリたい放題」な青春から20年、
西海岸で今もとびきり若づくりで昔と同じく浮き草のように暮しているスゼットは、
若い男に捨てられ金も底をつき、
思い立って昔の「バンガー」仲間、ヴィニー(スーザン・サランドン)を訪ねようと
東海岸へと向かう。
もちろん、カネがないから珍道中。
途中でハリー(ジェフリー・ラッシュ)というさえない中年男の車に乗せてもらうことに。
この男、実は高名な作家だが、スランプの真っ最中で自殺志願。
今までの人生で出会ったこともないあけすけな女性に面食らいつつ、
それがショック療法のようになって彼の人生を変えていく。
ようやく東海岸につくと、
もう一人の「バンガー・シスター」は、なんと政治家の妻におさまっていた!
もちろん、今でいえば「毎日センター街でオールでした!」みたいな過去は
家族に対しても近所に対しても、しっかり封印している。
コンサバなスーツにナチュラル・メイクで福祉活動にイソシむヴィニーにとって、
いきなり闖入したスゼットは、まさに過去からの亡霊!
みるからに異質な存在は、当然次々と問題を起していく。
しかし、過去の自分を否定して作った「今」の生活に
本当は自分自身が満足していないことに、
ヴィニーも気づき始めるのだった。
私がこれを観たのは、飛行機の中。
観るとはなしに眺めていたのだが、のっけから引き込まれ、
とっても満足して「いい映画がかかってトクした!」と思ったものだ。
スーザン・サランドンの「変貌」ぶりもすごいが、
ゴールディ・ホーンが当時50歳くらいと後から知って、これまたビックリ。
30歳くらいにしか見えなかったー。
ジェフリー・ラッシュの神経病み的な演技もさすがで、
この3人の力があって、人生の深みを感じられる素敵な映画になっている。
ちなみに3人ともオスカーを獲得している実力派。
それにしても、「ベージュの女」という言葉は、正に言い得て妙。
60年代、すべての「権力」を否定して生きた全共闘世代もしくはヒッピー世代の人には、
懐かしさの中にも胸がチクチクするすることだろう。
「バンガー・シスターズ」を「やりマン・シスターズ」と訳す向きもあるけれど、
そしてそれは間違っていないかもしれないけれど、
ちょっとニュアンスがずれてしまうような気がする。
コトの良し悪しは別として、
「free sex」は、一時期、社会への挑戦のカタチだった。
特に、「女から求めるsex」は、
社会を揺るがすほど反社会的な行動だったのだ。
「ロック」も不良の音楽で、「ロック」をしていること自体、
オトナからはハナつまみ人生の烙印を押されたようなものだった。
今、ミック・ジャガーとか矢沢永吉とかが「カッコイイ」のは、
今も昔と同じ魂をもって「ロック」しているから。
ただの「歌のうまいセクシーなチョイ悪オヤジ」などと片付けないでネ。
私はもう少し若い(?)けれど、
それでも「ベージュ」のスーツを着るたびに、この映画のことを思い出す。
そして、「小さくまとまってんじゃねぇ!」と、
自分にカツを入れたくなるのである。

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