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「メンデルスゾーン物語」@サントリーホール(小)

今年はメンデルスゾーンの生誕200年にあたるということで、
それを記念して、
国連クラシックライブ協会が
「メンデルスゾーン物語」というコンサートを行いました。
「国連クラシックライブ協会」というのは、
「21世紀を生きる地球市民として、
 生命の尊厳や環境問題を再考査するきっかけ作りを目的とする
 “生命のコンサート”(芸術舞台活動とシンポジウム)を基盤として
 国連広報活動を中心とした国際交流、青少年の育成、地域文化への寄与、
 伝統文化の継承、ボランティア推進活動をしている人権擁護団体」(HPより)で、
アメリカ・NYのカーネギーホールで「赤毛のアン」をやったり、
スイス・ローザンヌの国連本部ロビーや日本大使館で
「環境ミュージカル」をやったり、と、
音楽という共通言語で地球規模での人類の平和を考えていこう、という
NPO法人です。
今回のコンサートは、
この団体の顧問として
若い音楽家の育成のために長年寄付や活動を惜しまなかった
ドコモビジネスネット相談役の野口義明氏が
昨年急逝されたことへの追悼の会も兼ね、
あいさつに立った方々の言葉からも、
皆さんが音楽をはじめ、芸術活動を、そして「人」を
信じ、愛しているんだな、と感じました。
この団体の音楽的側面を支えているのは、
ヴァイオリニストでN響のコンサートマスターも務めたことのある
尾花輝代充氏。
以前、彼の演奏を聴いたときに、
その巧みな弦使いと豊かな音に思わずうなってしまいました。
今回もメンデルスゾーンのホ短調のコンチェルトで
彼の演奏をたっぷり聴くことができ、シアワセ。
また、
単に曲を演奏するだけでなく、
その曲についての説明や背景などを
大変わかりやすく話してくれて、楽曲に対する理解が深まりました。
たとえば、
「メンデルスゾーンはピアノは弾くがヴァイオリンは弾けなかった。
 それなのに、非常にヴァイオリン弾きが弾きやすいように曲を書いている」
これは、尾花さんが自分で演奏してみての感想なのだけれど、
話はここで終わらない。
「実は、メンデルスゾーンには非常に才気煥発な姉ファニーがいて、
 ファニーはヴァイオリンを弾いた。
 この有名なコンチェルトは30年間手を入れながら完成したものであると分かっているが、
 メンデルスゾーン自身は38歳で早世。
 じゃあ、8歳のときに作曲しているのか?ということになる。
 当時は女性が(それも裕福な家庭の女性が)職業をもったり世に出たりということが
 受け入れられない社会であったので、
 もしかしたら、最初はファニーの作ったものを弟の名前で世に出したのかもしれない」
などという推理も披露してくれる。
小ホールでオーケストラ編成、という難しさから
自ら「参加できる楽器」のみでの編曲に臨んだことから、
「昔はウィーンみたいな大都会ならいざ知らず、
 ふつうはその村にいる音楽家にあわせる形で作曲したものですよ」
などというこぼれ話も聞けました。
ビジュアル的にも、
ファニーをはじめ、コーラスメンバーが19世紀の装いに扮し、
「メンデルスゾーン家の広間」という想定で登場したり、
「オラトリオ・聖パウロ作品36」も
歌詞はドイツ語でわからないけれど、歌詞が表している場面を
聖史劇として曲の中にさしはさむ形で披露、
「石で打て!」とか、けっこうむごい迫害の場面は
美しいハーモニーを聴いているだけでは想像もつかないな、と
あらためて「宗教」との距離を感じたり、
とてもためになるコンサートでした。
また、
サントリーホールはさすが音楽専用だけあって、
小ホール(ブルーローズホール)といっても非常に音の響きがクリアかつ優しくて、
最初の一音から感動です。
国連クラシックライブのこれからのスケジュールから抜粋です。
お問い合わせはHPまでどうぞ
「赤毛のアン」
8月2日 (東京)新宿文化センター小ホール(当日券なしとのこと)
9月21日 (岩手)盛岡市民文化ホール
10月10日、11日 (東京)東京国際フォーラム
*2010年3月26日に(神奈川)横浜での公演予定あり。
「環境ミュージカル」
9月20日 (岩手)盛岡市民文化ホール
10月24日 (東京)四谷区民会館
11月1日 (アメリカ公演)ニューヨーク・ハンターカレッジシアター
11月4日 (アメリカ公演)ワシントン・日本大使館文化センター
11月5日 (アメリカ公演)ワシントン・スミソニアン博物館講堂
12月19日 (東京)赤坂区民会館(予定)
12月25日 (神奈川)みなとみらい
*2010年も4月、5月に予定あり
◎「赤毛のアン」「環境ミュージカル」とも、
 私は一昨年観劇しました。そのときのレビューページを下でリンクさせますね。
 「赤毛のアン」のキャスティングは、
 誰もが知ってる重鎮・ブレーク前の新人、そして素人、という
 ほかのどこにもない絶妙なもので、毎年楽しみ。
 一昨年のアン役のうち、岡本茜はいまやたくさんのミュージカルにひっぱりだこ、
 「シラノ」の冒頭「あの白いドレスの人がロクサーヌ?」と思った人、多かったでしょう。
 当時高校生だった豊城礼も、東宝ミュージカルアカデミーの一員として、成長中。
 今年は、一体誰が出るのかな?
 「環境ミュージカル」には、
 そのテーマ性から国会議員の先生方も出演、
 昨年は代表になる前の鳩山由紀夫氏が、出演した夫人を観に来ていました。
 こちらも、公演する会場や地域の人たちをまきこむことを一つの形としています。
 学校でやるときは、子どもたちを入れたい、などいろいろ意欲的です。

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