映画・演劇・本・テレビ、なんでも感動、なんでもレビュー!

  1. その他
  2. 15 view

アリス・ゴーデンカさんの講演会「異文化の中で」

10/2に、東京・青山のウィメンズ・プラザ「女の文化祭」に
ちょこっと行ってきました。
お目当ては、
NHKの「英語でしゃべらナイト」にも出演したことのある
アリス・ゴーデンカさんの講演会です。
日本に住んで十年になるアリスさんが
「異文化(=日本文化)」の中でどう生きてきたか、
とても軽快なトークでとっても面白かったです。
アリスさんと逆に、アメリカなどで生活したことのある人たちが
参加者にたくさんいて、
いろいろと共感することが多かったようです。
アリスさん自体、日本語を専攻していたけれど、
日本に住むようになったのは、だんなさんの仕事の関係。
二人の息子さんの教育のこととか、
どうやってNHKで仕事をするようになったかとか、
そういう話が話の中心でしたが、
私がもっとも面白かったのは、「日本語」についての感覚でした。
彼女が初めて日本語を学習したのは大学生のとき。
そこで使った教科書は
「あれはさくらです。」「これはきくです。」
から始まるそうです。
日本の英語教育はなんちゃらかんちゃらって言われてるけど、
「This is a pen.」から始まるのは、万国共通なんだな。
そのなかで、
「げんかん」というのがでてきたとき、とても戸惑ったそう。
「だって、日本の玄関を一度も見たことがなかったからねー」とアリスさん。
言葉って、文化なんですね。
訳すと「玄関」は「porch」かもしれないけど、
ポーチって、日本家屋の一部としての「玄関」にはほど遠いイメージ。
自分のもっている常識の中で
見たことのない文化を学ぶって難しいことなんだな、と
改めて思いました。
ほかにも、
子どもを公立の小学校に入れて、
最初のうちは「保護者会」がなんだかわからなかった、といいます。
「ホゴシャって、そんな言葉、アメリカで習わなかったよ。
 自分のことだと思ってなかった」
これも時代によって変わってきた言葉の一つですね。
戦前は「父兄会」と言っていました。
それが戦後は「父母会」そして、「保護者会」へ。
この変遷は、そのまま日本の家庭を取り巻く状況が反映されています。
かつての家制度は家父長制で、親であっても女には何の権利もありませんでした。
(選挙権もなかった)
子どもの教育について、責任を持つのは男親であって、
父親の代理で出るのは母親ではなくて「兄」だった。
「兄」とか「おじ」とか。
それで、男女平等となった戦後、「父兄会」は「父母会」になりました。
ところが、
世の中にはお父さんもお母さんもいない子どもだっているわけで。
そういう子どもたちへ、あるいは、彼らを育てている人たちへの配慮として、
「ホゴシャ」という言葉が生まれました。
新しい言葉っていうのは、教科書には載りにくいですよね。
アリスさんが出席した「ホゴシャカイ」でのエピソードも笑えましたね。
「自己紹介っていうのに、誰も自分の名前を言わない!
 子どもの名前を言って、○○の母ですと言うだけ。
 そして、自分の子どもの欠点を並べたてるの。ギャクタイかと思った」
今は日本文化にとっぷりとつかり、
「アメリカに行くと、ところかまわず携帯で話すアメリカ人がうるさい」と感じるとか。
「私は幼いとき感受性が強すぎる、と、神経が細かいことを欠点とみなされたけれど、
 日本に来ると、そこが長所となって、日本になじみやすかった」というのも、
人間の美徳って、社会との相対性にあるんだな、とつくづく思いました。
最後にちょっと質問してみた。
「日本語でここが面白い、というのはどこですか?」
答えは…擬声語!

「アメリカで働いていた日本の企業で、
 上司の人がハンコ押すたびに、ジャンジャジャーン!と言っていた。
 あの、ジャンジャジャーン!っていったいなんだろう?って
 ずーっと思っていた」
外国に行った日本人がもっとも苦労するのは
病院で症状を説明することだと聞いたことがあります。
同じ「おなかが痛い」でも
「しくしく痛い」「チクチクする」「グルグル鳴る」「ごろごろする」
ぜーんぶ擬声語ですもんね。
怪談の「ヒュードロドロ」などでもおなじみの擬声語文化。
マンガでも「ガーン!」「バキューン」「ズガガガ」「バチン」「ドドドドド」
「キュイン、キュイン、キュイン、キュイン」などなど、
伝統は、今も続いています。
「ガラガラポン」が「すべてをいったん帳消しにしてやり直すこと」だと
わかる外国人はそうそういないでしょう。
特に、教科書だけで学んだ人には。
いろんなことを考えさせてくれた、アリスさんの講演会。
企画したのは、
以前このブログでもちょこっと紹介した「カラマーゾフの読書会」の企画者でした。
(彼女は英語本の読書会もやっています)
誘ってくれて、ありがとう!

その他の最近記事

  1. 演劇界休刊の衝撃

  2. サイト内検索ができるようになりました

  3. 「ガムザッティの感動おすそわけブログ」2006年〜2019年の道のり

  4. 現在のアクセス数

  5. 新年のご挨拶

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。


Warning: Undefined variable $user_ID in /home/nakanomari/gamzatti.com/public_html/wp-content/themes/zero_tcd055/comments.php on line 145

PAGE TOP