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マラーホフ「チャイコフスキー」@東京文化会館

私はマラーホフの絶頂期をしっかりと見ていない。
だが、
今のマラーホフがすでに絶頂期でないことはわかる。
絶頂期ではないが、
その柔らかい身のこなしを見ていると、
この人の絶頂期を頭の中で想像せずにはいられない。
「チャイコフスキー」は
ボリス・エイフマンの振り付けによるチャイコフスキーの苦悩、
とりわけ同性愛にまつわる苦悩を舞踊化した作品である。
チャイコフスキーの音楽を使っているので、耳なじみはいいけれど、
最初から最後まで、チリチリと心が焦げるような痛みが走る。
ゲイの人の悩みは本当に深いのだな、と思わずにはいられない。
女の人に言い寄られたときの嫌悪感とか、
嫌悪しながらも世間体のために女の人と一緒になる自分に対する嫌悪感とか、
男の人に言い寄られたとき、自分がそれに応じてはいけないという戒めとか、
でもその男がほかのイケメンに引き寄せられたときの嫉妬とか、
そのイケメンが女性に惚れてるとわかったときの絶望とか、
そんな心のグチャグチャを癒やしてくれるのが、めくるめく性愛で、
結局「わかってくれる」人なら誰でも、的な投げやり感とか。
こんなオレ、生きてていいですか?的な。
だから刹那的に生きていいでしょ?的な。
でも瞳の奥はいつも寂しくて、哀しくて。
見ていてすごく辛かった。
ここまで「自分」をさらけ出した作品ってないんじゃないかと思った。
胸をえぐりとられるような痛さ。
すごい作品だ。
AMPの「SWAN LAKE」も同じような題材を扱っているけれど、
あれはかなり客観視してカリカチュアされ、
深部をえぐる部分と笑いの部分がうまくmixされているから
一息つけるところがたくさんある。
また、親子の関係にも言及しているから、
その分ストレートの私にもわかるところがたくさんある。
この「チャイコフスキー」は、どこまでも「恋」。
最初から最後まで、魂の悲鳴の連続でした。
美術は美しかった。
あと、出てくる男性、すべて長身のイケメン。
イケメン、という言葉が恥ずかしくなるような、ハンサム。
ハンサム、という言葉が陳腐になるほど、きれい。でした。

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