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ロパートキナの「瀕死の白鳥」


マリインスキー劇場のスターたち1ウリヤーナ・ロパートキナ
私はロシアのバレエが苦手だった。
何だか知らないけど、「はい、踊りました!」っていう感じが
“のめりこむ”という感情を生じさせないのだ。
そこに、ストーリーを感じない、というか……。
だから、ボリショイとかレニングラードとかマイリンスキーとか、
有名なロシアのバレエ団の公演は、ほとんど行ったことがなかった。
この自分の「好み」を一変させる大事件に、昨夜遭遇する。
夕べ遅く、忘年会から帰ってきてテレビをつけると、
NHKBSハイビジョンで
ボリショイとマイリンスキーの合同ガラの収録番組を放送していた。
ほろ酔い気分で見るとはなしに見ていると……。
みんな、うまい。
女性は驚愕のバランス。男性は見事な足さばきと滞空時間。
これぞ、プリンシパル。
次々と現れる一流の風格を持つバレエダンサーたちを見て、
層の厚さにたじろぐ。
特にワシーリエフはまだ18歳だという。
これからが楽しみだなー。
圧巻は、ウリヤナ・ロパートキナの「瀕死の白鳥」!
下半身と上半身が、分かれているんじゃないか??と思うほど、
上半身だけがねじれていく。
身をよじり、苦しみ喘ぐ白鳥。
それでも、水面下では絶えず水をかき続けているという感じで。
マイヤ・プリンセツカヤの「瀕死の白鳥」は見たことがあるが(テレビ)、
それとはまったく異なる振り付けだった。
特に後半。
プリンセツカヤは必死に手をバタバタさせるような仕草が印象的。
対してロパートキナは、背中を向けたまま両手を上げ、
両手を肩から手の甲まで、全部ピッタリ合わせるようにして力をこめ、立ち尽くす。
ろうそくの火が最後に燃え上がるような強力なエネルギー。
そして、
白いチュチュに顔をうずめるようにして静かに体を2つに折ると、
曲が終わるか終わらぬか、その余韻のなかで、
はた、と、こときれる。
釘付けだ。
人が舞いながら美しく昇天していくのに立ち会ったような緊張感。
「死」ではなく、「昇天」。
最後の最後まで精一杯生きたことを強く感じさせる
素晴らしいパフォーマンスだった。
「ロシア・バレエ」食わず嫌いだったかも??と、反省。
というか、
ようやくバレエというものが、わかってきただけ??
とにかく、
ロパートキナはすごい。
今度機会があれば、絶対ナマで見ようと思いました。

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