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Kバレエ「海賊」@東京文化会館

実は、5月にオーチャードホールでも観ています。
なぜそのとき、リアルタイムでレビューを書かなかったかといえば、
なんか、納得いかないものがあったから。
オーチャードでは橋本アリで、
遅沢コンラッド、浅川メドゥーラ、佐藤圭グルナーラ、宮尾ランケデム。
今回の東京文化会館は熊川アリ、
キャシディコンラッド、松岡メドゥーラ、荒井グルナーラ、橋本ランケデムでした。
結論。
初演に勝る「海賊」なし。
のみならず。
熊川が怪我をしたときも、
その翌年、またまた怪我で降板したときも、
ものすごーく動揺した年に出たDVDだって、
私はその舞台に一筋もふた筋も、希望の光を見出せたよ。
なのに。
5年経って、怪我があって、それでも結局、熊川のアリ、ありき、なのである。
彼のパフォーマンスは、5年前のそれより勝っているとはいえない。
けれど、彼のソロは素晴らしいし、見せ方を知っている。
舞台の上で必死で生きるアリを体現する術を身につけている。
ここが、橋本アリとまったく違う点である。
アリとしても、ランケデムとしても、迫力に欠ける。
技術的にはいろいろあろうが、宮尾俊太郎のランケデムは
長い手足や大柄な体躯、そして遠くからでもわかる表情を駆使して魅力的だった。
少なくとも、演技する宮尾は、ランケデムそのものだった。
グルナーラは、やはり荒井のもの。踊るほどに哀しみがこぼれ落ちてくる。
最後、パシャへのお願いは、「許してください」ではなく
「どうか自由の身にしてください」だったと初めて気づく。
だからこそ、拒否されて打ちひしがれ、絶望するのだ、と。
メドゥーラは、私は浅川に軍配を上げたい。
松岡も悪くはないが、華がない。
浅川には輝きと品があった。
ある意味、熊川なしの舞台で、一人気を吐くプリマドンナ、といってよかろう。
プリンシパルとしての燐とした強さと確かさが光った。
何がいいたいかというと、
「むむ!?」と目を見張る若手がまったくいなかった、ということなのである。
すでに橋本だって若手ともいえないが、
5年前は、「あのアリは誰だ?」「あのランケデムは誰だ?」と、
彼のパフォーマンスに誰もが目を見張ったはず。
同じように、
ビルバンドだって、ベガーだって、海賊たちだってほかのコールドだって、
どこかに「あれは誰だ?」が一人くらいいてもいいじゃないか!
突出してジャンプの高い人。
突出して表情の濃い人。
突出してキレのよい人。
突出して可憐な人。
いなかった。見えなかった。ときめかなかった。
これ、かなりへこむ。
ちょっと前に「シンデレラ」で、あの人もこの人も輝いていたはずなのに。
物語に求心力がない。段取り芝居で台詞が聞こえてこない。マイムが機械的。
ステップも、あんなにイージーだったかな。
全体的に、ダンサーが気迫に欠けていた気がしました。
再演の演目で、魅力が増幅できないってどういうことなんだろうか。
いろいろ考えてしまった「海賊」。
私はKバレエが好きだから、
Kバレエが、ずっとずっと存続してほしい。
熊川ほどのダンサーはそうそう出てはこないのは承知しているが、
その熊川を追いかけて、どのダンサーも年々伸びていってほしい。
いつか看板ダンサーになっておかしくない実力とオーラを身につけてほしい。
それが、私の望みです。

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