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5月・カンゲキのまとめ

【歌舞伎】
五月花形歌舞伎(昼の部)「鳥居前/釣女/邯鄲枕物語」@明治座
五月花形歌舞伎(夜の部)「伊達の十役」@明治座
團菊祭五月大歌舞伎(昼の部)「毛抜/勧進帳/魚屋宗五郎」@歌舞伎座
團菊祭五月大歌舞伎(夜の部一幕見)「矢の根」@歌舞伎座)
團菊祭五月大歌舞伎(夜の部一幕見)「春興鏡獅子」@歌舞伎座
【文楽】
5月文楽公演(第一部)「住大夫引退公演」
(増補忠臣蔵/恋女房染分手綱/三十三間堂棟由来)@国立劇場小劇場
5月文楽公演(第二部)(女殺油地獄/鳴響安宅新関@国立劇場小劇場
【能・狂言】
5月企画公演「演出の様々な形・砧/舟渡聟/邯鄲」(宝生流・和泉流)@国立能楽堂
5月企画公演「演出の様々な形・砧/舟渡聟/邯鄲」(観世流・大蔵流)@国立能楽堂
【ダンス・バレエ】
PDA「No.4~ZERO」@シアターコクーン
【音楽】
シューベルト三大歌曲の夕べ「美しき水車小屋の娘」@紀尾井ホール
【美術館・博物館】
「アンディ・ウォホール展」@森美術館
【映画】
「神聖ローマ、運命の日~オスマン帝国の進撃~」
今月は、歌舞伎4、文楽2、能・狂言2、ダンス1、音楽1の10公演でした。
今月こそ、MVPは難しいなあ。
あえて言うなら、
永年功労賞に竹本住大夫、
最優秀主演女優賞に「春興鏡獅子」の尾上菊之助、
最優秀主演男優賞に「邯鄲」の片岡九郎右衛門、
敢闘賞に「伊達の十役」の市川染五郎、
最優秀新人賞にはPDA公演に参加した、ローザンヌコンクール一位の二山治雄、
最優秀作品賞に、若手の座組で挑んだ「鳥居前」、でしょうか。
とにかく「鳥居前」が素晴らしかった。
中村米吉の静御前、中村隼人の義経、中村種之助の弁慶、中村吉之助の藤太。
義太夫の節にきちんとのりつつ、きちんと情感を醸し出して見事でした。
とりわけ中村歌昇の狐忠信
吉右衛門をほうふつとさせる大きさ、確かさ。
すべてが基本に忠実でありながら、あの荒事としてのオーラを放てる人は、
ベテランの中でもそうはいない。
花道七三での見得の立派なこと!
これからが本当に楽しみな人です。
菊之助の弥生は、絶品。
七之助や勘九郎がストーリーで演じるとするならば、
菊之助はあくまで「舞い手」としてこの作品を完成させる。
どの場面を切り取っても美しい。
すべてがストップモーション。日本画のようだった。
獅子の精になってからは、評価がわかれるところだろう。
観客好みの勇猛さとは一線を画す、しなやかな舞い。
日によっても出来がまちまちだったようである。
ローザンヌコンクールでもユースアメリカでも最優秀に輝いた二山治雄は、
やはりただものではなかった!
「バヤデール」のソロルのソロも見事だったが、
それよりコンテンポラリー「KIZUNA」の衝撃!
踊っている時間はものの1分かそこらだろうけれど、
息をのむ柔軟性と身体の使い方のオリジナリティは、
今後多くのコリオグラファーの食指を動かすことになると確信する。
まだまだ伸びしろがあるのもうれしいところだ。
アメリカでの精進に期待。
ただし、彼を参加させたことはPDAにとってはよかったのか悪かったのか。
二山目当ての観客を動員させたかもしれないけれど、
かえって力の差を見せつけられ、「PDA]のこれからを危ぶむ。
「力」とは、ダンサーとしての、という意味ではなく、公演主体としての、という意味。
普通であれば、それぞれの所属団体で主役級の踊りをしている人々が、
「やりたいこと」をやるために集まってきたグループであるPDA。
その「やりたいこと」が、あの程度のものだったのかと思うと、非常に寂しい。
もっと彼らの力を引き出すような振付、演出、コンセプトを望む。
染五郎は十役を素晴らしい技術で早変わりした。
そして、とりわけ政岡の演技には感動。
「先代萩」の本役としては、重鎮でなければまわってこないお役だけれど、
きっといつかやりたいと思っていたのではないでしょうか。
「義」の女ではなく、「情」の母としての辛い気持ちが
沈黙の演技の中に花開いた感じだ。
能・狂言については、あまり深く知らない私だけれど、
今まで何度も接してはきた。
今回、同じ演目でも流派によってずいぶん異なるということがわかり、
これまで自分が能・狂言にいまいち乗り切れなかったのは、
「能」や「狂言」ではなくその「流派」に問題があったことに気づく。
「笑い」にも好みがあるのだ。
私は、大蔵流の「笑い」が好きである。大らかで、人の好さが前面に出たような笑い。
声も朗々として大きく、舞台から身を乗り出したり、橋がかりから観客席を見渡したり、と
劇場を大きく使うコンセプトも。
すべての間合いが自分にフィットした。
茂山逸平が、若いながら素晴らしい演技で満足!
「能」もしかり。
私は片岡九郎右衛門が好きだ! 大好きだ!
能面に精神が乗り移っている。
動きの緩急が自在であるだけでなく、そこに魂がある。
能楽の「楽」の部分も、
京都観世流の謡は言葉がひとつひとつ理解できた。
ただはっきりしているというだけでなく、
音と一緒に物語がしみわたる。
これからも、彼の舞台を観られるだけ観たいと思った。
文楽では、
とにかく住大夫さんの引退を惜しむ。
惜しむが、彼が引退を決意しただけの理由はある。
今月、私を虜にした文楽は「三十三間堂棟由来」
三十三間堂を建てるために切られてしまう柳の木の精が
木を切るコーン、コーンという音とともに身もだえする。
それをなすすべもなく見守る夫と子ども。
柳の葉がキラキラと散る幻想的な場面も忘れがたい。
お柳の人形を遣うのは吉田蓑助
切の義太夫は、嶋大夫でした。
さて、来月は。
3月のバレエフィーバー、
4月、5月の文楽フィーバーも一段落し、
6月はジャンルが少しばらける予定です。
注目は、Noismの「カルメン」と、コクーン歌舞伎の「三人吉三」。

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