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「ワールズエンド-フライバイユー」 @シアターサンモール

エムキチビートという劇団のお芝居である。
ここの主宰者・元吉庸康は、熱いハートをもった切れ者だ。
20代の若さとエネルギーにプラスして、インテリジェンス。
そして、芝居を深く深く愛している…。
そして、野田秀樹の芝居が好き。
そういえば野田秀樹も、
若くてエネルギッシュでインテリな人物として頭角を現した1人である。
元吉氏とは、ある飲み会で知り合った。
野田の「The Diver~ロンドンバージョン」の話で大盛り上がり。
それで、
この人の作るお芝居をどうしても見たくなったのである。
結果。
なるほど、野田ワールドだ。
前半の、リアルとバーチャルが交錯する展開、
その時点では何を示しているのかわからない象徴的なシーンの反復、
たまに出るアソビの時間
中盤に、
これまでの芝居の「意味」が変わってくるどんでん返しが仕組まれ、
そこからスピードアップ、
終盤にむけて、すべての伏線が一つの縄としてより合わさっていく。
そしてクライマックスは、
一つの「詩」として「事実」が謳いあげられ……。
たしかに構造は野田の舞台を踏襲している。
でも、
骨太のテーマは彼の中から湧き出てきたオリジナリティであり、
そこここに織り込まれ結ばれたセリフたちは
人生の真実を映して美しく輝く。
大惨劇に巻き込まれた人間の
「生き残ってごめんなさい」という気持ちと
その気持ちを昇華させたい願いとを等身大に表した
佳作だった。
もちろん、荒削りなところはあるし、
書き手(元吉氏)が若いので、
若者の話だけに終始してその点の広がりがない。
でもそれは
「半径10メートルの素材で書きました」的な広がりのなさではなく、
多くの事実や理論を取材した上で、
自分にもっとも引き寄せて考えられ、
自分の実感に置き換えられうる素材で勝負しようとした結果、
そうなっただけのことだ。
半径10メートルが、社会の出来事や人生哲学ときちんと結ばれる
深い話になっていて、
はっきり言って、私は「ザ・キャラクター」より感動した。
元吉ワールドを具現するにあたり、照明・映像が非常に効果的。
俳優たちの滑舌もよく、見ごたえがあった。
特に
杉山未央(少年社中)の声・セリフまわしと
和田成正(スパイスガーデン)の役作りは私のツボ。
セリフや設定以上の厚みを感じさせる演技が魅力的で、
彼らのほかのお芝居を見てみたくさせる。
最近、若手のお芝居を見る機会が多い。
若くていい俳優ってたくさんいるんだな、と
頼もしい気持ちにさせてもらい、幸せである。
「ワールズエンド-フライバイユー」
東京・新宿御苑前のシアターサンモールで本日午14:00の回が千秋楽。
当日券もあるので、よろしかったらぜひ。

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