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「旬の演劇をつくる10人」インタビュー集


旬の演劇をつくる10人
いのうえひでのり2002
永井愛2002
中村勘九郎(当時・現在は勘三郎)2002
野村萬斎2002
ケラリーノ・サンドロビッチ2003
大竹しのぶ2003
坂手洋二2003
マキノノゾミ2003
宮田慶子2004
鵜山仁2004
日本劇団協議会の機関紙「join」に掲載された
演劇人のインタビュー記事再録です。
あまりに面白くて、何度ふき出したことか。
とくに、いのうえひでのり、中村勘三郎、ケラ、などは、
もう彼らのインタビュー番組をテレビで見てるみたいな感じで、
次から次へと破天荒なエピソードがあふれ出てくる。
たとえばいのうえさん。
役者をやらないと決めたのはなぜ?という問いに
「まぁ太ったからなんですが(笑)」
痩せなきゃヤバイと思うのが役者、まあいいや、と思うヤツは、役者じゃない、と。
するとインタビュアーの田窪さん、
「じゃあ、古田新太は?」と切り返す。
このとき、いのうえは
「古田はそのものが役者なんです」と答えてるんですが、
自信作の「髑髏城の七人」について、
「あれはロングランに耐えうると思うんですよ。全然大丈夫。
 ただ、誰がやるか。
 結果的には、古田が太ったから主役がいない」
ケラもすごい。
中学生のとき、どうしてもマルクス兄弟の映画が見たくて、
16ミリフィルムを一日2万円でレンタル。(買うと50万くらい)
中学生に2万は大金なので相談すると、上映会をしていいとその会社の人に言われる。
そこで、
四谷公会堂とかを借りて、マルクス兄弟のほかプレスリーのフィルムなども借りて
上映会をしたら、百何十万と儲かったっていう話。
その儲かったお金で、結局フィルムを買いまくって
「喜劇映画研究会」というのを立ち上げる。
そのコレクションを定期的に上映していると、
観客の中には志村けんとか、
大阪からわざわざでかけてきた同年代の松本人志とかがいる。
インタビュアー、念を押す。
「でもそれ、中学生ですよね、くどいようですけど(笑)」
「だからお客さんはみんな、お父さんが上映会をやって、
 息子に手伝わせてるんだと思ってたみたい(笑)。
みんな一つのことに熱中すると、もう手が付けられないっていう感じ。
おとなしそうでシュアにみえる宮田慶子だって、
青年座研究所時代をふりかえり
「サーカスに売られたかと思った。朝から代々木公園を走り、
 帰ってくると柔軟体操。午後はひたすらマット運動。
 私、バック転切れるようになりましたもん。
 もう意地です。
 日舞もダンスも、そのときにやりました」
彼らの過去の熱っぽさが
現在の演劇界を作ってるっていうことがよくわかる。
「(襲名して)勘三郎になったら、今よりもっと過激にいろんなことやりたい」
と言っていた勘九郎は、ほんとにカゲキだし、
当時すでに新国立劇場の文芸委員で
「本当に大切なものを見極めてやっていくことが大事」と語っていた永井愛は、
昨年の新国立劇場芸術監督の更迭騒動で、
本当に信念をもって行動した。
その騒動の渦中にいた人たちはといえば、
「たとえばご自分が芸術監督をやりたいとか」と訊かれて
「全然! 全然ないですよ」と即座に否定した宮田慶子、
「(栗山民也の)次の芸術監督を、というお話があったら?」と訊かれ、
「大変でしょう、それは。
 僕なんかにはちょっと想像できないぐらい大変なことだと思いますよ」
「それでももし、ご自分の身に振りかかってきたら?」
「うーん、人格改造をまず考えないと。
 今まで勝手なことばかりやってきたわけですから」
 などと答える鵜山仁。
彼らの演劇論の熱さと深さには
心を動かされます。
全身全霊で芝居を語る、そのエネルギーを浴びて、
私たちの魂も、吸い込まれていってしまうのだ、と
改めて思いました。
買って読んで、絶対ソンのない本です。
素材としての10人もすごいですが、
インタビュアーがいいのか、まとめたライターがいいのか、
本当に優れた文章になっています。
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