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2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」@さいたま芸術劇場

若い世代に、
それもほぼ無名の俳優達に、
どこまでこの作品ができるのか。
それは、
あの蜷川幸雄にしても、一種の賭けであったと思う。
彼は、使命感から賭けをした。
そして、
その賭けは、大いに当たった。
一途で、まっとうで、深みのある、最高の「ハムレット」を見た。
蜷川幸雄に脱帽する。
ぽっかり空いた一日、
思い立って2時間かけて劇場に行き、当日券に並び……。
行って良かった。
魅力的な人間たちの織り成す濃密な人生の迷路に放り込まれ、
「ああ、終わってほしくない!」と思うほど、この舞台に酔った。
本当に、幸せな時間だった。
シェイクスピアを愛するすべての人々は、
この舞台を観に行って、
シェイクスピアの偉大さを全身に浴びる至福の4時間を過ごしてもらいたい。
今、詳細を書いていられないのが惜しいのだけれど、
とにかく、主役が抜群の出来である。
川口覚のハムレット。
のっけから涙が出そう。
気弱な部分、不安な部分、鼓舞する部分。
ガートルードの土井睦月子もよい。
しかし、
「よい」といえば、全員よい。
最初の、歩哨の2人の科白からして、よい。
シェイクスピアの科白の意味が、一つひとつ心にしみこんでくる。
一語として不要な言葉はないことを、思い知らされる。
あそこにも、ここにも、
全体を理解するための伏線が、ちゃんと現れているではないか。
今回初めてわかったことも、たくさんあった。
それだけ、
コトバが肉になっている、ということだ。
若人に、乾杯!
彼らの努力に、本当に感謝したい。
もちろん、蜷川の演出も冴える。
ガラス張りの「地下」は非常に効果的に使われる。
そして、こまどり姉妹である。
ここで使うのか! というところで彼女たちの歌う
「幸せになりたい」は、
まさにハムレットのテーマ曲たりえるのである。
たった3分で、世界観を見せつける、名曲の力。
それを70歳すぎてなお、薫り高く、一流の歌声で披露できる、スターの力。
すべてが、舞台。舞台の力。
すべてを結びつけ、引き出した蜷川幸雄という演出家に、恐れ入った。
2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」
3月1日まで。
絶対に損しない舞台である。
さいたまネクストシアター、
ますます楽しみだ。

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