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メトロポリス
「私は誰?」といいながら墜ちていくヒロイン・ティマの瞳をみつめながら、
私は静かに泣いた。
美しい、そして深い、ラストシーン。
オバタミナコの歌もよかった。
手塚治虫の原作を黛りんたろうと大友克洋がアニメ化、という
この「メトロポリス」が封切られたのは、2001年6月。
やがて9.11がやってくる。
あの日、ツインタワーの惨劇が、
メトロポリスの中心ジグラットの崩壊と二重写しになって見えた。
ジグラットを滅ぼしたのも、レベル3、いわば第三世界の人間だった…。
ロボットの話に戻りましょう。
「鉄腕アトム」でも「A.I.」でもこの「メトロポリス」でも、
登場する「博士」は、死んだ自分の子どもそっくりのロボットを作る。
哀しいよね。
そっくりだけど、おなじじゃない。
そして、
自分は自分という存在において親に愛されていると信じていたのに、
誰かの代わりでしかなかった、とロボットは気づく。
何かの目的のために作られ、その目的以外のことを考えてはいけないもの、
それが、ロボット。
ところが人間は残酷にも、ロボットに「心」まで求める。
「人間のようなロボットがほしい」と思って作られたその時から、
ロボットの悲劇は始まっているのだ。
一番傷つくのは、ロポット。
心がない、と思われていたロポットの、心が壊れていく。
「私は、誰?」
「A.I.」
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「メトロポリス」より少し前に公開された「A.I.」は、世界中で大ヒットしました。
こちらは、スピルバーグが作ったピノキオのお話。
あまりにも悲しい映画です。
お母さんが森にロボットを捨てにいくところ、
帰ってきた本当の子どもがロボットにイジワルするところ、
ボクは人間だ、と認めてもらいたくて、食べてはいけないパスタを必死で口に入れるところ、
親が、今まで溺愛していたロボットを、ある時から「気味が悪い」と思い始めるところ、
ロボットがかつての黒人奴隷のように見せ物にされ、なぶられ、殺され、
それが人間のストレス解消のはけ口になっているところ・・・・・・。
思い出すだけで、胸が苦しい。
そんな中、特筆すべきはジュード・ロウのジゴロロボット。
いい味出していました。
彼は今や主役に引っ張りだこですね。
そして・・・。
「A.I.」の中には、未来のニューヨークを表した情景に、ツインタワーがありました。
何百年も、何千年もたった後か知らないけど、
海面が上がって高層ビルが海の中からニョキニョキそびえている一角に。
アメリカ人にとって、「永遠」のシンボルだったのかもしれません。
とても象徴的に、このシーンを思い出します。
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「メトロポリス」と「A.I.」
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