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2つの「クライマーズ・ハイ」@シネマナビ

昨日8月12日は、御巣鷹山に日航ジャンボ機が墜落した日です。
あれから、もう23年も経つというのが信じられません。
今年は、
この「8月12日」に合わせるように、7月から「クライマーズ・ハイ」が上映されています。
6月発刊の「Wife」の「気ままにシネマナビ」で、
私はこの封切映画「クライマーズ・ハイ」(主演・堤真一)と、
NHKのドラマ「クライマーズ・ハイ」(主演・佐藤浩市)とを対比して書いています。
映画もドラマも力作なので、おすすめですが、
できたら原作の小説も読んでみると、さらに深い感慨を得ることができます。
今日は、2作に対するシネマナビのレビューに、小説の感想も含め、
三つどもえでご紹介します。
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映画:「クライマーズ・ハイ
監督: 原田眞人
配給: 東映Xギャガ・コミュニケーションズ
日航機事故・記者たちの一週間
ストーリー●
1985年8月12日。群馬の地方新聞社の記者である悠木は、
その日山登り仲間の安西と、谷川岳の衝立(ついたて)に挑戦するはずだった。
しかし「長野・群馬付近の山中でジャンボ機が消えた」という臨時ニュースが、
悠木を社内にとどまらせ、彼を別のヤマにのぼらせる。
「墜落現場は長野か群馬か」「東京の新聞社に負けるな」。
全権デスクとなった悠木は、現場一番乗りやスクープに燃える若手記者たちを御しながら、
自らも世紀の大事件を前に興奮していた。
(7月5日より全国ロードショー)
「クライマーズ・ハイ」とは、
登山において興奮が極限に達し、山への恐怖心も麻痺してしまう状態。
「山」を「事件(ヤマ)」とかけ、
地元で起こった大事件を報道する地方新聞社の一週間を追いながら、
「大事件」に遭遇してハイテンションになるジャーナリストたちの表と裏に迫る。
原作小説の著者・横山秀夫氏は、日航ジャンボ機墜落事件発生当時、
実際に群馬・上毛新聞の記者だった。
一面トップ記事をめぐる地元出身の大物代議士に対する配慮や、
ワンマン社長へのおもねり、社会部と営業部の対立など、
きれいごとだけでは済まされない地方新聞社の内情も、前面に。
そこへ悠木(堤真一)の複雑な家族関係もからまって話は幾層にも重なっていく。
圧巻は、
幼い犠牲者を抱いて立ち尽くす現場の自衛官を綴った佐山記者(堺雅人)の「現場雑感」。
報道の使命と意義、そしてペンの力を改めて思い知らされる。
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ドラマ:「クライマーズ・ハイ
脚本:大森寿美男
発行:NHKエンタープライズ
「報道」する怖さは後からやってくる
ストーリー●
悠木(佐藤浩市)・安西(赤井英和)とも、
息子を愛しながらもうまくつきあえずにいた。
日航機事故の被害者やその遺族の心情を重ねながら、
親としてジャーナリストとして、上司としての悠木の苦悩と成長を描く。
上記映画より早く2005年に制作されたTVドラマ。
同じ横山秀夫の小説が原作で、あらすじもほほ同じだが、
焦点の当て方が異なるため違った印象を受ける。
親子の問題のほか、
「同じ人間の死でありながら、新聞の扱いはなぜ事故の大きさで違うのか」という
マスコミへの疑問にも触れ、
書いてしまったことへの責任の自覚を
「クライマーズ・ハイ」の後に感じる「怖さ」と重ねている。
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クライマーズ・ハイ
私は3年前に見たドラマ「クライマーズ・ハイ」にノックアウトされた1人なので、
白状すると、
今回の映画には、少し違和感を覚えた。
同じ話をなぞっているのに、まったく違うドラマになっている。
なぜそんなふうに感じるのだろう。
そのわけが知りたくて、原作小説を読んだ。
すると、
映画もテレビも、たしかに小説に忠実なのだ。
どちらかが捨てたところを、どちらかが拾っている。
自分の捨てたところを補うようにして作られたところが、
それぞれの「色」になっている、とでも言おうか。
映画を見て、改めてドラマのDVDを見ると、
なるほど映画というのはスケールを大きく作れるんだ、ということも実感。
「ニュースのNHK」がお家芸のニュース映像をふんだんに使って臨場感を出しているが、
それでも映画のインパクトには「現実」以上のものがある。
ドラマのいいところは、
小説の終盤に出てくる「人の命って大きい命と小さい命があるんですね」という
「どの事件を報道し、どの事件を報道しないか」の部分を丁寧に描いた点。
映画のいいところは、
「マスコミに虚報は許されない」ことをジャーナリストとしての悠木の核に据え、
それを「チェック、ダブルチェック」という言葉に集約させた点。
いずれも、ジャーナリズムの根幹に触れる重要な問題だ。
小説は、そのどちらも骨太に追っている。
さて、あなたが一番好きなのは、どの「クライマーズ・ハイ」?

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