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「モンスター・マザー」


モンスターマザー
最近「モンスター・ペアレント」という言葉をよく聞く。
お金がないわけではないのに、給食費を払わない。
その理由が「義務教育なのに、なんで払うんだ?」
ほかに、
「塾の試験と重なるから、運動会を延期しろ」というのもあるらしい。
「運動会の昼食にピザを注文、ピザ屋のお兄ちゃんが校庭をウロウロ」というのも。
うわー、コワイ。
そんな人と自分は違うわ、っていうアナタのことも、
この「モンスター・マザー」は書いていますよ。
そして、私のことも。
この本のテーマはズバリ、「母親に未来はあるか?」。
今まで、まがりなりにも「専業主婦の良妻賢母」は尊敬されていた。
子どもをおんぶし、髪をふり乱し、
着るものをいったらどう汚れてもいいトレーナーにGパン、
パーマ屋さん(この表現がまたダサイ)に行くヒマもないから
髪は伸ばしてうしろでしばる。
そんな母親は見た目はダサいけど、精神的には神々しい、ことになっていた。
ところが。
今や「専業主婦」は「役立たず」。
なんてったって、「稼いでない」んだから。
それなのに、年金もらえちゃうんだって?
誰が払ってるのよ、アンタの年金保険料??
…とか、いわれちゃうのだ。
「世間」だけじゃなくて「政府」も公式にそういう政策に転換。
配偶者特別控除など、どんどん切り捨てられている。
専業主婦は、もう「社会的に保護すべき女性のあり方」ではなくなった。
独身の女性たちが、ことあるごとにヒルズだとかハワイだとか京都だとか行ってる間に、
子ども2人とダンナと自分と、4人分のTDLのチケット代捻出するために、
ああ、今月もパーマ屋さんはなし、なんて生活してるのに、である。
だーれも感謝してくれない。
少子化の時代に、一生けんめい未来の納税者たちを自前で育成しているというのに。
病気しないたくましい体になあれ、と手作りの食事を作る努力をしても。
アトピーなんかにならないように、こまめに掃除しても。
「自己満足」にはなっても、「感謝」にはつながらない。
ダンナでさえわかってくれないんだから、他人なんて、当然ムリ、か。
だから、
これは「オンナのハンスト」なのだ。
「オンナはハハになったらハハらしくなるのが当たり前」とばかりに、
ただオンナにだけいろいろ押し付けてきた時代のツケが、ここにある。
「やってもやらなくても評価されないんだったら、やらないー!」派と、
「私を評価しないんだったら、子どもで評価して!」とばかりに子どもにすべてをかける派。
どちらも根っこは同じ。
「母親」ってこういうもの、という教育もせず、
その「母親」をサポートしたり大事にしたりする教育もせず、
女性は若いうちはチヤホヤされて「お姫様」なのに、母になった途端に家族の「奴隷」になる。
少なくとも、そんな気持ちになってしまう女性を量産してきた結果なのである。
だからといって、
筆者は「モンスター・マザー」を肯定はしない。
子どもを産んでも、自分のことしか見られなくなっている女性たち
そして、
「子育てしてる」と言われれば、何の意見もいえない周囲に対して
非常に危惧を抱いている。
モンスター・マザーが生み出すものは、モンスター・チルドレン、
そして、彼らも、いつか親になる。

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