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「Adagio」で太宰の人生を読もう

東京・首都圏エリア限定の話で申し訳ありませんが、
都営地下鉄の駅に置いてある「中央公論Adagio」というフリーパーパーを
ご存知ですか?
いつもは東京メトロの駅置きフリーペーパー「メトロエイジ」について
いろいろ書いている私ですが、
こちらもよく読んでおります。
特集は毎回、文豪や文化人をフィーチャーし、
その人物と縁の深い(かつ都営地下鉄の駅にゆかりがある)
東京都内の場所とからめて
4、5ページの読み物を構成しています。
今回配布されている11号は、「太宰治と五反田を歩く」
力作です。
毎回、文学や歴史に関する書き手の造詣の深さに舌を巻きつつ、
質の高いがっしりとした文章に身をまかせ、読み進むのですが、
今回は特に、
太宰の作品、そして人生に対する熱い思いが
一見冷徹で突き放したような文脈の中にドクドクと波打っている感じで、
非常に読みごたえがありました。
太宰をまるごと、好きなのね……。
彼の作品をひもときながら語る大正・昭和の東京風景が、
鮮やかなるリアリティで立ちのぼってきます。
彼が命を絶った玉川上水の話から始まりながら
「もし・・・だったら」「もし・・・だったら」
この文学の天才は、もっともっと生きられたのではないか、
彼の命とシャイな気質と、そして才能を惜しむ気持ちが浮かび上がってきます。
太宰の好きな人、
文学の好きな人、
東京散策の好きな人、
おすすめです。
毎回連載されている江戸東京博物館学芸員によるページも、
今回は時節柄「泉岳寺」「忠臣蔵」に関するもので、
この前、平成中村座で「仮名手本忠臣蔵」を見た者としては、
ページの上に飾られた浮世絵に描かれた役者たちの扮装などもよくわかって、
とても面白く読めました。
「中央公論Adagio」の編集長は堀間善憲氏。
太宰と五反田の特集のほか、
彼の作品『斜陽』のモデル地であることにからませて始まる
白山(東京都文京区内)についての2ページの記述も、
散策案内と歴史・文学をうまく配して非常に読ませる内容です。
「中央公論Adagio」は、
HPが非常に充実。
なんと!
駅でゲットできない方は、Web上で読むことができます!
東京以外にお住まいの方、ぜひHPへ。の“記事”というところをクリックしてみてください。

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