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「武士の一分」


武士の一分
SMAPの中で、
私が俳優としてもっとも評価しているのは、中居正広。
その次が、クサナギくん。
木村拓哉は、何をやっても「キムタク」だから、
そこが俳優としてはどうかな?と思っていた。
それで、
この「武士の一分」を見るのが大幅遅れました。
ごめんなさい。
正直、予想をはるかに上回って「よかった」です。
たしかに、木村拓哉は「キムタク」だった。
特に初めの方。
あの喋り方は、時代劇の喋り方じゃない、と思った。
しかし、所作は他の誰より美しかった。
毒見をする椀を手にする。椀の蓋を開ける。箸をとる。口に運ぶ。
その指のさばき、肘の角度。
美しい。
視力を失ってからの感情のくぐもり、高まりは言うに及ばず、
剣での復讐を決意した後は、ぐいぐいと観客をひきつける。
それは、木村の華であり、努力でもあったが、
まずは緻密な脚本にあった、と後から思う。
「湯を」から始まるこの映画、
どのシーンにもゆるがせにできない伏線がはりめぐらされ、
ちょっとした表情も、椀をもった手にも、
食事の献立にも「意味」がある。
これでもか、というリアリティ。
木村が剣の師匠(緒方拳)と立会いをするときに着ている藍の練習着の背中を見よ。
白いバッテンがかすれて浮き上がっているではないか。
彼が今までいかに武道に傾注してきたかを、たすきがけの痕跡だけで表している!
その時、師匠が放る湯飲みも、
反応する木村の剣さばきも、
すべてがクライマックスへと紡ぎ上がっていくのだ。
果し合いの場面には、
今までの日本映画で数々登場した名場面のエッセンスが頭をよぎる。
時代劇監督としては後発の山田監督。
研究に研究を重ねて、ここに至ったか。
恐るべし、山田時代劇。
日本アカデミー賞授賞式では、最優秀助演男優賞に輝いた笹野高史が非常に印象的だったが、
惜しくも「最優秀」は逃したとはいえ、
主演女優賞にノミネートされた檀れいの演技力は相当なもの。
武士の妻の「一分」を守る矜持の高さと同時に、
孤児であったおいたちをほうふつとさせる「生きる」ことへの強い執念。
美しくも土着的な「女の強さ」をきっちり表現している。
彼女の実力を存分に引き出す作品に、再び出会えることを切に望む。
最後に。
音楽がいい。
最近、時代劇といっても現代劇と変わらない音楽をつける映画が多い中、
非常に映像の持つ雰囲気を大切に作っている。
さすが、富田勲。
そして、藤原道山。
エンディングで藤原の尺八が波をうってうねるのを聞いて初めて、
「ああ、この映画、音楽があったんだ」と気づく。
これほど、映像と音楽が一体化したものも珍しい。
すべてに、緻密。
すべてに、全力。
見終わって長く余韻が続く映画である。

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