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「オリオン座からの招待状」

先日、「男の人って未亡人が好きですよね」と書いたのは、
「母べえ」の前に「オリオン座からの招待状」を見ていたせいもあった。
昭和30年代の京都、
オリオン座という映画館があった。
主人は宇崎竜童、妻は宮沢りえ。
そこに加瀬亮が転がり込む。
しかし、主人は急逝。
「映画館のことを頼む」と加瀬亮に言い残して・・・。
それで、宮沢りえと加瀬亮で映画館をやっていくんだけど、
周りの人は、
「あの流れ者、最初から奥さん狙いだったんとちゃう?」とか
「未亡人の誘惑にころっと・・・」
「死んだタンナがかわいそうや」などと、
二人に反感を持ち、映画館に冷たくなる。
当の二人に、ソノ気は毛頭なく、
ただただ亡き館主の遺言どおり・・・なんていうこと、
信じられます? アナタ。
二人、じとーっとみつめあっちゃうんですから。
いっつも二人なんですから。
頼りあって、必要としあってるんですから。
奥さん、「主人が、主人が」って言いながら、
どーみてもうなじがカレを誘ってますよー。
イケナイイケナイ、
加瀬クンもろとも、ちがう、ちがう、とは思うんですが。
りえちゃん、ほーんと、色気あるわー。
「母べえ」もそうだけど、
こういう、一見楚々として、夫に操をたててるような感じの女性が
もっともずるいって思いますね。
「私は夫を愛してるの。それはわかってね。
 でもあなたのことは嫌いじゃないし、
 あ、もちろんそれは、ヘンな意味じゃないけど。
 いてくれると、とっても助かるの。それでもいい?
 いいんだったら、いてくれる?
 でも、強制じゃないよ。あなたの自由意志を大事にね。
 ・・・自己責任ね」みたいな。
加瀬クン、ヘビの生殺し状態で、気がついたら原田芳雄になってしまいましたとさ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ひねくれた見方はこれくらいにして、
映画全体を見ると、
映像は美しいけれど、話はありきたりに思う。
ここまで似せるかってくらい「ニューシネマパラダイス」だし。
それにしては、
映画を取り巻く状況が、まったく見えてこない。
映画が斜陽なのか、二人の関係が町に受け入れられなかったのか、
そのあたりの説明のないまま時はどんどん流れていく。
あれほど村八分状態だったのに、
オリオン座の最後の日が満員なのは、なぜ?
いつごろから、どのようにして、町の信頼を回復したの?
そこのところが、よくわからない。
二人によくしてもらった子どもたちのエピソードも、
未消化の部分が多い。
「いいんだ、そんなのどうでも!
 宮沢りえはキレイだ! 昭和はのどかだ!
 みんな貧しかったけど、助け合っていてよかった!」
・・・と割り切れる人にはおすすめ。
「映画人のはしくれとして」みたいな演説が、最後にあるんだけど、
オリオン座を閉めなかった理由は、そこにはないということを
彼は最後に白状しますし、
そんな「映画人」のお話じゃございません。
最後まで見せる力はたしかにあるけど、
最後まで見ると、「やっぱりなー」と力が抜けてしまう映画です。

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