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「あの日、欲望の大地で」@シネマナビ

母親が踏み越えた一歩の代償
監督:ギジェルモ・アリアガ
配給:東北新社
ストーリー●
シルヴィア(シャーリーズ・セロン)は海辺の町で、
次々と男を取り替えながら生きている。
少女時代、母親が不倫相手と密会中に事故死した記憶が、
彼女を虚無で投げやりにしていた。
そこへ10年前捨ててきた自分の娘マリアが会いに来る。
最初は自分が母親失格だと逃げるシルヴィア。
やがて娘と暮したいと考え始め、
彼女はこれまで封印してきた自分の「罪」と向き合おうとする。
(9月26日より、全国順次公開中)
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母親の行動一つで子どもがいかに傷つくか、という話だ。
子どもとは母親に母親役だけを求めるもの。
母にとって夫が仕事で長く家を空ける暮らしや、乳房切除による喪失感が
どんな意味を持つかなど理解できるはずもない。
愛憎混じりあい、
シルヴィアは思春期の潔癖さと残酷さで母の不倫を決して許さなかった。
一方
マリア(テッサ・イア)が見せる、
自分を捨てた母シルヴィアに対するクールさは、
シルヴィアとはまた違った心の傷を感じさせる。
彼女もまたいつか爆発するときが来るのだろうか。
そう思うとせつなくなる。

本来は、
シルヴィアがトラウマと闘って本当の家族を得ようとするのが
作品の本筋なのだが、
母・ジーナ(キム・ベイシンガー)の
若さを失う中で感じる不安と焦燥、
ありのままの自分を受け入れてもらった時の至福の涙など、
一見幸福な家庭の中、実は孤独をかこつ専業主婦像が実にリアルで、
心情に思わず感情移入してしまう。
「あの日、欲望の大地で」の公式サイトはこちら
「気ままにシネマナビ」では、封切り映画1本の紹介に対し、
 テーマの類似性に着目したDVDを合わせて紹介しています。
 この映画のカップリングが、
 昨日紹介した「マディソン郡の橋」。
 自分を解放してくれる男と、今まで築き上げた平穏で幸せな家庭。
 てんびんで「男」の反対側にかけられるのは、
 決して「夫」ではなく「家庭」であり、
 もう一つのてんびんにかけられるのは、
 「自分らしさ」と「母親らしさ」なんだということを、
 この二つの映画はおしえてくれます。
 本文にも書きましたが、
 私にとって、この映画の主人公は、キム・ベイシンガー扮するジーナです。

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