映画・演劇・本・テレビ、なんでも感動、なんでもレビュー!

  1. 映画
  2. 9 view

「ジェーン・オースティンの読書会」

読書会って、参加したことありますか?
私は学生時代にとある先生に誘われた経験がある。
池袋に程近い一軒家。
その先生、いろいろな学校の講師をしていたから、
普通だったら知り合わないほかの学校の学生さんと顔を合せることになり、
また先生のお友だちも入れ替わり立ち代り。
出版社勤務の人が来たり、
歳がうーんと上なんだけど、とってもステキなオバサマが来たり、と
私にとってはまさに「未知の世界」。
オトナの仲間入りをした気になって、背伸びもしました。
そうだなー、1年ちょっと通ったかな。
毎月1回、自分の趣味と関係ない本を読むのは、けっこう負担です。
「ぜーんぜんワカリマセン」
みたいなムズカシー本でも、一応わかったようなこと言うか、
でなければ「どこがどうわからないか」を言うか。
それって、かなりおっくうに感じるときもあるけど、
それでも「読書会」には不思議な魔力があって、
ちょっとのぞいてみたくなったり、
「本はまだ読んでないんだけど」欠席はしたくなくなっちゃったり。
読書会ってつまり「人間関係」なんだと思う。
そこに魅力がなければ、きっと空中分解。
「本」に愛情をもてる人たちの集まりって、
ほんとは、それだけで、かなり面白そう!
ジェーン・オースティンの読書会」
ジェーン・オースティンの小説が大好きな女たちが
毎回集まる家をぐるぐる回しながら
オースティンの小説を一つひとつ読んでいきます。
仲良し3人組のうちの一人がペットロスで悲しんでいるので、
彼女を慰めよう、というところから始まった読書会。
だからこの3人は「大好きなオースティン」をもう一度読み直す、というスタンス。
でも
「6冊やるから6人集めよう!」というノリで、
交友関係とは離れたところからもメンバーをピックアップする。
中には「オースティン初心者」も混じるという結果に。
(その結果、「初心者」の観客もついていけることとなる。そのための仕掛けかも)
本について語り出すと、人はけっこう「自分」を語ってしまうもの。
お互いの本質が、よく見えてくるんですよね。
さっきも言ったとおり、
「読書会」っていうのは「人間関係」なので、
ここにいろいろドラマがでてくるわけです。
そしてテーマは「オースティン」。
200年前のイギリスの女性の話でありながら、
そこには「恋愛」や「結婚」そして「家庭」について
考えさせられることが多く書いてあります。
みんなオースティンについて語っているつもりでも、
結局は自分の恋愛観、結婚観、理想の家庭像について
自分の気持ちと向き合わざるを得なくなる。
そして
反発しあったり、共感したりしながら、
実生活の中でも「迷っている自分」を振り切り、一歩踏み出しちゃったりする。
今、アメリカの女性の間で「読書会」が人気なんですって。
そういえば、去年封切られた映画「リトル・チルドレン」でも、
主人公の女性は「ボヴァリー夫人」の読書会に誘われてる。
私も、たまたま来月10日、
久々に読書会に誘われていて、
けっこうタイミングのいい映画でした。
当読書会のメンバーは、女5人と男1人。
誰でも、きっと誰かに感情移入できるのでは?
ただ、一つ気になったのが、
この6人、みんな経済的な苦労がまったくない人たちなのよね。
一人暮らしの人も、家族で暮らしている人も、
みーんな大きなお家に住んでたり(アメリカのサクラメントあたりでは当たり前なの?)
離婚したって精神的なダメージはあっても経済的にはまーったく悩んでないし。
ま、生活にカツカツな人は読書会どころじゃないかもしれないけど、
本ってもっとも手ごろな娯楽だし、
自分の「今」から離れられる魔法でもあるのだから、
そういう、ちょっと生活に追われている人の「読み方」もあってよかったような気がする。
そういうところでハナ白んじゃう人には、
絵空事に思えるかも。
そういえば、私も言われたことがあったっけ。
その学生時代の読書会に新メンバーとして一度だけ来たクラスメイトに。
「これって、机上の空論じゃない?」
読書会って、
基本的に本の世界に遊んで浮世を忘れるってことだから、
そこはユルシテほしいのでありました。
オンナの日常と、揺れる心をうまく描いた佳作。
読書会をめぐる「人間模様」のハナシなので、オースティンを知らなくても大丈夫ですが、
小説(あるいはその映画など)を一つでも知っていると、
自分も読書会に参加しているような面白さが味わえるかもしれないですね。
オースティンは、イギリス女流作家の代表として、ブロンテ姉妹と並び称せられることが多いから、
このあたりが好きな人には、なじみ深いと思います。
映画化もたくさんされてる。
「へえ、あれ、オースティンなの!」と知らずに見てる人もけっこういると思います。
有名なものといえば、
「エマ」や「自負と偏見」「分別と多感」「説得」あたりでしょうか。
「自負と偏見」は「高慢と偏見」や「プライドと偏見」
「分別と多感」は「いつか晴れた日に」
「説得」は「説き伏せられて」などいろんなタイトルで言われています。
キーラ・ナイトレー、エマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレッドなどが出演していますね。
「いつか晴れた日に」のヒュー・グラントも、いい味出していました。
実は私も、読まずに映画で知っているほうが多いデス。
4月12日から、東京・渋谷のBunkamuraル・シネマなどで封切り。
あー、ル・シネマ、読書会にはまりそーなご婦人方がすきそうな映画館ですね。
試写会場も、女性が圧倒的に多かったです。

映画の最近記事

  1. 「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」

  2. 紀里谷監督のインタビュー記事をアップしました

  3. 「FOUJITA」~藤田嗣治の戦争画を考える

  4. ガメラ、ゴジラのいる映画館前のレッドカーペットを歩く

  5. 「ザ・ウォーク」

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。


Warning: Undefined variable $user_ID in /home/nakanomari/gamzatti.com/public_html/wp-content/themes/zero_tcd055/comments.php on line 145

PAGE TOP