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「夏休みのレモネード」


夏休みのレモネード
神様ってどこにいるんだろう?
神父さまは、いいことをすれば神様が見ているっていう。
ちゃんと神様を信じないと、天国に行けないっていう。
本当なのかな?
くりくりとした瞳で、すなおにオトナのいうことを信じる少年ピートは、
夏休みにユダヤの教会の前でレモネードを売る。
ユダヤの神様じゃなくて、カトリックの神様を信じないと、
天国に行けないよ。
そこで出会った男の子ダニーに、一生懸命「伝道」するのだ。
その子を幸せにするために、どうしたら「改宗」させられるだろう?
ピートはダニーのために、ありとあらゆる「努力」を始める。
二人はとっても家庭が違う。
カトリックとユダヤ教。
アイルランド人とユダヤ人。
貧乏人の子だくさんと、金持ちの一人っ子。
健康と死に至る病。
一歩間違えば、ありきたりで陳腐な話になるようなテーマを、
この映画は実に心地よく表現している。
子どもの純粋な心を、それゆえの矛盾や残酷さも含め、
周りの大人たちが遠くから心配そうな目で見守る。
口出しするまい、と心して二人を支えるところがいい。
そして、それとなく子どもに「生きる」ということを伝えていく。
その愛情と良識が、この映画の底流を作り、軸となっている。
世の中って、いろいろしがらみがあるんだよ。
大人はその中で、折り合いをつけながら生きているんだよ。
他人の価値観に土足で踏み込んじゃいけないよ。
仲良くすることと、理解することは、別だよ。
どうにもならないことって、あるんだよ。
システィナの聖堂天井画から抜け出した天使のような二人の男の子の愛らしさ。
「無垢(innocent)」の意味を深く噛みしめる90分だ。
この映画は、マット・デイモンとベン・アフラックが製作に関わっています。
マットって、心の奥底をじっとみつめる作業をしていないとできない映画を作りますね。
世の中、「善」と「悪」じゃ説明つくほど単純じゃないってことを、
何とか形にしようとしている。
「信仰(Faith)とは、証拠がなくても信じられること」という言葉には、
いろいろ考えさせられます。
特にこれといった宗教を信仰していない私にとっては、特に。

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