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世の中に挑む眼・岡本太郎が遺した神話

日本テレビで「休日は美術館に行こう・親子で見る!岡本太郎」
という番組をやっていた。
「芸術は爆発だ!」というCMはかなり昔のものだが、
本人が亡くなった今でも、
岡本太郎といえば、あのカッと見開いた眼が頭に浮かんでくる。
ようやく時代が太郎に追いついた。
そんな感じだろうか。
番組では、岡本太郎美術館の中を歩きながら彼の人生を振り返り、
これまでに遺されたフィルムも駆使して岡本太郎の芸術観をわかりやすく紹介していた。
私の胸に響いたのは、塔が作られた大阪万博(1970)当時の岡本太郎の肉声。
「時代に迎合したものではなく、世の中に挑むように会場を睨みつけるものを作った」
「未来になっても、孤独に、ここに立ち続けている」
なるほど、と思った。
私もまた、30年以上経って岡本太郎のいわんとすることがようやくわかったクチである。
太陽の塔の中には、「生命の樹」が作られている。
生命の進化が、下から上に再現されている。樹の幹にサンヨウチュウの化石、はまだわかるが、
サイケデリックな「幹」に恐竜がのっかっていたり、
かなりポップな「生命の樹」である。
私は万博にも行っていないし、記念公園も訪れたことがないが、
一番上まで上ると「生命の未来」が見えるのだろうか?
残念ながら、内部の公開は3月末で一旦終了している。
次の公開は平成22年を予定とのこと。
2011年は、岡本太郎生誕100年にあたる。
岡本太郎は、「未来」にこだわった人だと思う。
「今」ではなく「未来」を見据え、カタチにできるその精神こそが、
彼のアートを鮮やかなものにしている。
断言する勇気、自分を表明するその自信が私たちを圧倒する。
その太郎の「最高傑作」と言われるのが、大壁画「明日の神話」だ。
「明日の神話」は原子爆弾による惨劇をモチーフにした図で、
よくピカソの「ゲルニカ」と比較されるが、
それを「神話」と位置づけたところに、岡本太郎の「未来」観が現れている。
昔むかしの壁画を見れば、それはノアの箱舟だったり火山の爆発だったり、
その地方で言い伝えられてきた大事件を絵にしたものだった。
それは「語り継ぐべきもの」であり、生活の中の「警鐘」なのである。
世界で唯一、原爆を投下され、その地獄を実際に経験した日本が、
単に「1945年という一時期にそういうことがあった」と過去のこととしてこれをとらえるのではなく、
ずっとずっと後になったとき、
未来人が「これは一体・・・?」とその衝撃の謎を研究してくれるように
事実かフィクションか、わからなくなっても
そこに「真実」があると未来人がわかってくれるように
過去の歴史物語ではなく、「神話」を作ったのである。
1960年代に。
太陽の塔と同時期にメキシコで作られた幅5.5メートル、長さ30メートルの巨大な壁画は、
長い間行方知れずだったが、2003年に発見され、
数年をかけて修復された。
岡本太郎夫人の敏子さんは、その発見を喜んだが、日本に持ち帰られる前にこの世を去った。
彼女の遺志を引き継いだスタッフたちは、修復を完成し、
昨年夏、汐留で公開されたのは記憶に新しい。
その「明日の神話」が、
今度は東京都現代美術館
4月27日(昨日!)から1年間公開される。
プロジェクトでは、その後恒久的な公開場所を探しているということだ。
メキシコからの運搬、修復、そして保管と、
このプロジェクトにはとてつもない巨費が投入されている。
日本テレビ他、大口のスポンサーもついているが、
太郎の芸術を愛する人たち一人ひとりの寄付もまた、この運動を支えている。
グッズの売上げも、こうした費用にまわされている。
とにかくホンモノに一度出会ってみよう。
そして考えよう。
「明日の神話」を「明日」に遺していくために、私たちには何ができるか。
戦後60年が経って、すでに「日本とアメリカが戦争をした」ことさえ知らない人間が増えている。
彼の壁画は、すでに「現代の神話」になっているのかもしれない。

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