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黒川紀章氏逝く・「国立新美術館」

建築家の黒川紀章氏が急逝した。
本当に急だったらしく、
夫人の若尾文子さんの口から出るコメントにも、
まだ亡くなってしまったという実感がわかないような戸惑いが滲み出ていた。
東京都知事選に出馬したり、参議院選挙に立候補したり、と
ここのところ政治関係でよく話題になり、
テレビで顔もよく見るようになっていたが、
黒川氏は世界的にも非常に高く評価されている建築家である。
私は建築のことは何もわからないけれど、
1970年代に作られた中銀のカプセルタワービルの異様とも思えるその風貌は、
当時としては、ある意味梅図かずお氏のピンクの家以上のインパクトだった。
ただ「今まであるもの」を壊すだけではなく、
彼なりの理想と、世界観とがあったからこそ、
彼はずっと第一線で活躍し続けてきたのだと思う。
そして、最も最近話題になった彼の作品が
東京・乃木坂にできた「国立新美術館」。
その日光を反射して美しく光るガラス張りの外観の曲線は、
周囲の緑と調和して入り口に立ったその時から「美術」を感じさせる。
決してクラシックではない、時代の最先端のモードでありながら、
この美術館は私たちにリラックスや癒しをくれるのだ。
気取らない、とんがっていない、やさしい建築物。
ものすごく高い天井。
ガラス越しに降り注ぐ明るい陽光。
モダンなレストラン。
美術展を見なくても入れて、くつろげる空間。
「広い」「高い」ということが、
こんなに心をやわらかくするのだということを
初めて意識させられた。
環境への配慮、
障害者への配慮、
その他今までの人類の叡知をしっかり入れ込んで、
すべての人が「美術」を「楽しむ」スペースを提供した黒川氏。
「共生」ということを、彼は40年も前から提唱し続けてきたという。
私は、彼の思想は知らない。
彼の人となりも知らない。
でも、
この美術館は好きだ。
最高の芸術も見られる。
子どもたちが芸術にチャレンジするスペースもある。
学術的に研究する場所もある。
そして、建物自体が美術である。
彼の肉体は滅びるけれど、
彼の建築はこれから生き続ける。
彼のDNAを、誰かが受け継ぐことだろう。
合掌。

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