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「バレエの神髄」@文京シビックセンター

昨日は、ルジマートフのことしか書きませんでしたが、
ほかで目を引いた人は、まず岩田守弘さん。
ルジマートフに「阿修羅」を振り付けた人ですが、
ボリショイのダンサーとして今やこの人は欠かせない。
その実力を、見せ付けられた感がありました。
ラヴロフスキー振り付けの「侍」では、
シャープな動き、力強さ、素早さ、軸の安定感、
とても素晴らしかったです。
「侍」はあくまで日本テイストだけれど、
西洋テイスト「ディアナとアクティオン」でも
彼の気持ちのいいほど弾む跳躍とか、見事でした。
あまり体格に恵まれないのに、パワーと切れと高さを示し、
相手役のナタリア・ドラムチョワも気持ちよさそうにのびのびと踊っていました。
ドラムチョワは、「眠りの森の美女」のローズ・アダージオは
急な配役なのか、精細を欠きました。
「ディアナとアクティオン」のほうがずっとよかった。
(パンフレットでは、ローズ・アダージオはカテリーナ・ハニュコワでした)
吉田都は「ライモンダ」で登場。
いつもながら手さばき足裁きの優雅さと、音楽に合わせていくセンスが光ります。
ただ、「ライモンダ」はもうちょっと濃いキャラでねっとり踊るほうが
演目の雰囲気に合っているかもしれませんね。
彼女の相手役だったロバート・テューズリーが直前のケガで降板、
シドルスキーとの急ごしらえパートナーリングだったこともあり、
序盤は表情にゆとりがありませんでしたが、
踊りが進むにつれて二人の息も合って最後ははじけるような笑顔でした。
シドルスキーによるライモンダのソロは素晴らしかった。
長身の足の長さ、腕の長さを活かしつつ、
ジャンプは大胆に、しかし着地は丁寧に。
観ていて心地のよいバレエでした。
彼がコンラッド、アリにはヴィクトル・イシュク、
メドゥーラにエレーナ・フィリピエワの「海賊」のパ・ド・トロワも
優雅でした。
若いイシュクも丁寧さを心掛けているのは
シドルスキーと同じという気がしました。
「シェラザード」は、ちょっと期待しすぎてしまったかな。
ものすごいインパクトはありませんでした。
ただ、ルジマートフはどこまでもどこまでも「金の奴隷」でありまして、
ゾベイダ役のフィリピエワをものすごい至近距離からじとーっとみつめてるの。
この「入り込みよう」がものすごくて、
私はずっとルジマートフにひきつけられて目が離せず
コールドたちがいろいろ踊っているときも
そちらを観る余裕がありませんでした。
カーテンコールでたくさんのファンがルジマートフに花束を贈りました。
最近の舞台公演では、花束やプレゼントは受付預けを求められるので、
こういう光景は久しぶりです。
いろいろ問題はあるのかもしれませんが、
やっぱり終演後の熱気の中で、スターが花束を抱える姿には
観客の至福と祝祭性が凝縮されて、思わず笑みがこぼれます。
「金の奴隷」になりきって挨拶をしていたルジマートフも
温かい花束攻撃に思わずにっこり。
素敵なひとときでした。

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