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「友情~friendship~」@博品館劇場

ああ、前、三船美佳がやったやつね。
ああ、白血病の話でしょ。
ああ、骨髄バンクの啓蒙映画?
ああ、抗がん剤で髪の毛が抜ける女の子の話。
ああ、それでクラスの子たちが丸坊主になる話。
ああ、それ、アメリカの実話だよね。

などといった先入観をぜーんぶ振り払ってください。

純粋に、面白い。
等身大の中学生の、一人ひとりの青春が、
子育てする親にもある葛藤が、
とても素直に心にしみこんでいきます。
脚本は布施博一、演出は吉村ゆう。
元気いっぱい、精一杯、必死で演じる子どもたちを活かしつつ、
脇を支えるベテラン勢を輝かせます。
治療のため上京、転校してきた島崎あゆみと、
父が帰化した在日韓国人である森山信一を中心に
話は進みます。
中学3年の夏に、女の子まで坊主になるか?とか、
現実離れしているように感じながら観ていたのですが、
坊主になった面々が誰ともなしに自分の悩みを打ち明けるところで、
ああ、
中学3年だからこそ、
親との関係や将来のことなど、
小さな胸におさまりきらない不安をみな抱えているからこそ、
まるで花火が爆発するように、
そういうことになってしまったんだな、と
とっても納得がいきました。
そのときの先生のリアクションも、すごくわかるな~(笑)。
「白血病のかわいそうな女の子」の話ではなく、
病気になって自分が一番不幸だと思っていた子が、
誰にでも深い悩み、生きていくのにつらい思いはあって、
自分にもできることがある、と気づく話です。
「生きるって何ですか?」と、
白血病と闘っている生徒に真っ向から聞かれても、
たじろがず、ごまかさず、
自分にひきつけて一生懸命答えようとする担任教師。
その言葉に、この話のテーマはあるのかもしれません。
以上、
敢えてネタバレも辞さないレビュー、書きました。
ストーリーがわかっていても、
その面白さ、良さは損なわれない、そういう舞台だと確信するからです。
伏線もたくさんあって、深い深い話だし。
ぜひごらんください。
私は知らなかったのですが、
平成11年から、ずっとキャストを変えながら続いているそうで、
今回も、1月、2月、と、「1組」から「4組」まで、
大人勢はチームを変えながら公演が続きます。
子どもたちは、秋組と桜組の2班編成。
(このネーミングはキーとなる花・コスモス=秋桜から)
私の見た2/9は、3組の大人と桜組の子どもたちでした。
これまでの長い上演のなかでも初めてとなる
「女性教師が担任」というキャスティングのかとうかず子が好演。
男勝りのスカッとした性格ながら、女性らしい細やかな気遣いもあって、
こんな先生が担任だったらいいな、と思わせる。
森山信一の両親を演じる清郷流号、大和なでしこのコンビが絶妙。
在日という重い問題をしっかりと把握しながら、
国より人よ!って軽々と飛び越えてくれるところがステキです。
でも、
何より子どもたちがすごい。
ステージ上を元気に駆け回るだけでなく、
セリフもクリア、歌も踊りも上手く、プロだな、と感じました。
現在、東京銀座(新橋寄り)の博品館劇場で、2/28までやっています。
3組公演は2/15まで。
2/16からは4組が演じます。
担任の野本先生も、女性のかとうかず子から男性の赤井英和に。
またひと味ちがった化学反応が見られることでしょう。

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