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「シャーロックホームズ」

私がコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」ものにはまったのは、
小学6年生くらいのときだったか。
まずは「怪盗ルパン」シリーズ、次に「シャーロック・ホームズ」シリーズと、
図書館にある本をかたっぱしから読み、
ないものは買ってまで読んだ覚えがある。
私がホームズでもっともよく覚えているのは、
訪ねてきた女性の職業を音楽教師かピアニスト、と言い当てる場面。
「なぜわかったのですか?」と驚く婦人に対し彼は
「あなたの指を見ればわかります。
 そういう指をしている人は、ピアノを弾くか、あるいはタイピスト。
 あなたの教養深い物腰から、ピアノではないかと推測しただけです」
と、答えます。
当時私が一生懸命ピアノを稽古していたこともあり、
この場面はものすごく鮮明に覚えています。
(何の話の導入だったかすら忘れてしまったのに)
私にとってホームズとは、
思慮深く、物静かで、ちょっと皮肉屋だけど知的なジェントルマン。
そんなイメージでした。
だから、
今回の映画「シャーロック・ホームズ」の主人公は、
てっきりジュード・ロウだと思い込んでしまっていたのです(笑)。
違いましたね~。
ホームズ役はロバート・ダウニーJr.。
ライオン丸っていうか、ワイルドなホームズです。
ホームズって確かに変人かもしれないけど、
ここまで好戦的でハナつまみ者に描かれるとは思ってませんでした。
ジュード・ロウはワトソン役だった。
「彼はワトソン、彼はワトソン…」と念じ続けながら観たものの、
かっこいいとかそういうことはおいといて、
どうしても違和感が先に立つ。
私のワトソン像は、A型ホームズに対するO型ワトソン的存在。
アタマはいいけどおおらかで、
「ま、いいじゃないか、そんなことは」みたいな。
「あんまりコンをつめすぎるなよ、人生は楽しまなくちゃ」
「へえ~、そんなこともわかるか、こいつはすごい!」みたいな
ノー天気な感じでした。
ほんとはそうじゃないかもしれない。単なる私の思い込みかも。
とはいえ、
脳内で長年培われてきたイメージは、そう簡単に拭い去れない。
だから、なーんか違うの。今度の映画。
場所はロンドン、ベーカーストリート。しかし
ほとんど、ハリウッドのアクション映画でありまして、
それもカルト宗教がらみの国家のっとり計画みたいな壮大な話で、
巷の殺人事件や失踪事件、盗難事件を見事な推理でスマートに解決する、
みたいな話ではございませんでした。
私のような「ホームズ幻想」を抱き、
あるいは典型的なホームズの活躍を期待して
この映画を見んと映画館に足を運んだ人が多かったようで、
周りには老夫婦の割合が高かった。
ちょっと…テイスト違ったんじゃないでしょうか。
観客に謎解きという知的なゲームを楽しむような「時間」を
まったく与えてくれずに
次から次へとアクション、アクション、アクション。
あとから「答え」をもらっても、
ひざを打って「なるほど~!」みたいな快感がありませんでした。
ガイ・リッチーが監督だ、ということを
完全に忘れていた私がいけなかったのかもしれません。
続編ができるような匂わせ方で終わりますが、
探偵小説というよりも、悪の枢軸との戦い志向です。
ホームズをものすごく深く愛している人は、
そこのところ、了解して映画館へ。

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