国母の腰パン騒動で急にメディアが注目し出した
スノーボード・ハーフパイプ競技。
その国母と青野の2選手がともに組2位という好位置で決勝に一発進出、
大衆もマスメディアもいい気なもので、
そうなると急に国母loveなんですけど、
昼・快晴で行われた予選とは全く違う、夜のハーフパイプで、
私たちが観たものはまさに「宇宙遊泳」だった。
それもただ一人だけの。
白い雪のハーフパイプの上の、漆黒の闇に、
まるで船外活動をする宇宙飛行士のようにクルクル回りながら漂う人。
ショーン・ホワイト、23歳。
トリノに続き、オリンピック連覇の金メダリストだ。
2回目を残してすでに一位が確定していたホワイトは、
先月初披露し、予選や一回目では温存していた新技
「ダブルマックツイスト」をしっかり入れ、成功させ、
なんと、50点満点中48.4という驚異的な点をたたき出して金メダルに花を添えた。
誰よりも高く飛び、
誰よりも長く空中にとどまり、
そして何より、自分の作った技をそこできっちり見せてくる。
彼が作った技を、皆が追うように習得して、
この競技は進化し続けてきた。
はっきり言って、格が違うのである。
トリノのときはまだ19歳だったんだ…。
トリノの決勝もテレビで観たけれど、
あのときは、もう一人ベテランがいて(名前失念)、
私は彼のパフォーマンスが気に入ったけど、
ひょろひょろ~っとしてたショーンがアーーっいう間に高得点で金だった。
当時は成田童夢が世界選手権でいい成績を残し、取りざたされていたのだけど、
解説者が「ショーンはアメリカ国内のXゲームを転戦して、
世界選手権とかは出てない」というから、
「へぇ~」と思ったものだ。
スポーツというより、遊びの延長にある、
そんなことを感じさせたのが、ショーンだった。
現在23歳のショーン。インタビューにこたえ、はにかむように彼は言う。
「どれだけ練習したらあの技が出来るようになるのかってよく聞かれるけど、
練習も楽しいんだ。
楽しんで練習しているうちにできるようになるんだよ」
そりゃそうだろう。
自分の頭に浮かんだ「技」をやってみたくてやってみたくて、
それは誰も見たことのない「技」、
彼の頭のなかにしかない「技」なんだから、
イメージを形にしたくて、何度も何度も挑戦するのだろう。
国母は8位、青野は9位。
どんなにいいパフォーマンスをしても、
ちょっとしたミスで大きく点を削られる競技らしく、
予選で見せてくれた完璧なすべりができていれば上位に食い込めただろうと
本当に残念。
しかし、
だからこそ、勝負は時の運。
またがんばろう。
誰が何色のメダルでもいいじゃん。
みんな好きだからやっている。
楽しくてしかたないから。
夜中の公園で、次々と腕自慢をするスケボー青年たちの歓声に、
ふと立ち止まってその様子を見出したら目が離せず、
集会の最後までいました、みたいな感じ。
「あのコの滑りはサイコーだったね」
「あの技、どうやってキメるんだ?」
「今度マネしてみたいな」
帰り際に、そんな会話が聞こえるような、
楽しい時間でした。
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