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元旦早々、伝統芸能萌え

明けましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
元日はNHKBShiの「若き獅子たち」で
文楽・狂言・歌舞伎の若手3人のドキュメンタリーを連続4時間半視聴。
おなかいっぱいなるも、中身の濃い番組の連続で、
非常に堪能しました。
文楽は、ちょうど12月に生で観たばかりだったので、
その舞台裏を見るような感じで勉強になりました。
人形使い遣いは人形の衣裳などを縫って自分が動かしやすいようにつくる、
というのを初めて知りました。
「曽根崎心中」が江戸時代に上演禁止となって以来、
復活したのがなんと昭和28年(歌舞伎で)だった!というのはもっと驚き。
そんなにとだえていたものだったんですね~。
若手として密着されたのは吉田蓑次ですが、その師匠は吉田蓑助。
女形を得意とする彼がつくり出す人形の表情の豊かさには思わずどっきりするほど。
蓑次の父親である桐竹勘十郎があやつる狐の俊敏さにもうなりました。
2月の「義経千本桜」も観にいきたくなりました。
また、狂言は、
狂言師として生きる意味を問う「分家」の茂山宗彦33歳の葛藤を
ここまで赤裸々に撮らせるかっていうくらい肉薄して捕らえており、
あまりに華奢で繊細な宗彦氏がもうカワイソウになるくらいでした。
銀行マンと狂言師の二足のわらじを18年間も続けたという彼の父・七五三(しめ)さんの
「本家」の人間でありながら「分家」となる悲哀、
そのなかで彼が見つけた自分の立ち位置と、芸の豊かさにも
非常に感銘を受けました。
しかし何と言っても市川亀治郎を追った歌舞伎の番組が秀逸。
衣裳を着けない亀治郎のスリムなシルエットを逆行で捉え、
そこに衣裳を着けた本番の舞台の映像をダブらせ、
さらに音楽はT-RexやJazzをかぶせるという趣向は
もう誰も思いつかないけれど至高の芸術の本質を突いて見事でした。
亀治郎が猿之助や猿翁に寄せる思い、
先達の舞台を再現しようとまっしぐらの様相、
ともすれば突っ走りがちな若き座頭の注文に対し、
苦笑まじりに、でもうれしそうに応える古株のスタッフたち。
病で弱りながらも舞台稽古を観て的確なアドバイスをする猿之助の凄さ、
彼の目をまっすぐみつめ、矢継ぎ早に質問する亀治郎の真剣さ、
亀治郎の問いかけに、打てば響くように意見を出す染五郎たち若手俳優。
最近、亀治郎の舞台を観て歌舞伎にはまる若い人が多いというが、
それは当然だな、と思う。
観客をどう楽しませるか、工夫の上にも工夫を重ねている。
単なる「奇抜」ではなく、伝統をなぞるように踏襲している。
しかし、自分の感覚を大切にして、どんどんアレンジしていく。
新しいものを取り入れる。
彼に不可能はないのではないか、と思うほど、
200%前進しか考えていない。
早変りのために狭い舞台裏を疾走する姿に、
1秒たりとも無駄にするまいという亀治郎の生きざまを見る思いだった。
一緒に観ていた、歌舞伎など1度も関心を持ったことのない息子も
非常に感銘を受けていました。
正月早々、いいものを見せてもらった、という気がします。
ありがとうございました。

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