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四月大歌舞伎(第一部)@歌舞伎座

新しい歌舞伎座に行ってまいりました。
まずは第一部。
最初の演目は「壽祝歌舞伎華彩〜鶴寿千載」。
王朝絵巻のような色鮮やかな勢ぞろいは、
まさに「華麗」な「彩色」!
お祝いにふさわしい幕開きでした。
でも、
色とりどりの衣裳に負けない純白の鶴がすごかった。
これは、とにもかくにも藤十郎の神々しさが光りました。
本当に鶴の精そのもの!
出てきたときから退くまで、人間ぽさをまったく感じない。
お顔がもう天女さんみたいでした。
次の演目は「お祭り」。
「待ってました!」と声をかけられない寂しさ。
「待っていたとはありがたい」。そう言って帰ってきてくれるはずだった、
その人がいない。
不在の在ばかりを感じてしまいました。
ただ、初お目見えの七緒八くんの堂々ぶりが、
中村屋の明日を垣間見せてくれてうれしかった。
扇を使ってちゃんと見得を切ってました。
お父さんや叔父さんの舞もじっと見ていて、
ときに真似るように手が動いたりして。
大物になりそうですね。
最後は「熊谷陣屋」。
吉右衛門の熊谷直実は、かなり抑え目な演技。
藤の方には、初役の菊之助。これがよかった。
品がありつつ、母としての必死さが伝わってきた。
吉右衛門との息の合わせ方も絶妙で、
それが緊迫感を醸し出していたのだろう。
相模は久々の玉三郎。
打掛のさばきとかがちょっともたついて、
玉三郎らしからぬところがあった。
息子が身代わりの首となったことを知ってからは、
嘆きの深さをリアルに演じていた。
そこが魅力的でもあったが、夫直実の抑制と対照的すぎて、
全体のバランスというか、大きな流れが少しちぐはぐで、
最後は盛り上がりに欠けたような気がする。
そのため、後半は仁左衛門の義経の大きさが
目立った。
弥陀六と義経の物語に決着がつくと、
直実の出家など付け足しみたいになってしまった。
バランスというのは、大切だとつくづく思った。
新しい歌舞伎座は、ほんとに前の歌舞伎座に
そっくりで、
まったく違和感を感じませんでした。
でも、
時々ガランとした空気感を感じる。
長年積み重なった埃のようなものが、
あちこちの「隙間」を埋めていたのかもしれません。
この劇場も、これから育っていくのだ、
これから歴史が始まるのだ、と思った。

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