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2015年・カンゲキのまとめ

今年は
歌舞伎(59)、文楽・浄瑠璃など(22)、演劇(14)、
ミュージカル・オペラ(14)、バレエ・ダンス(12)、
他(5)で、計126でした。昨年より20本以上多いです。
他に美術館・博物館(22)、音楽ライブ(4)、映画(11)、試写(31)。
映画は42本で、昨年に続いての40本越え。
今年は「人形と浄瑠璃に出会う1年」でした。
文楽以外の人形浄瑠璃に会いに、徳島や能勢に遠征。
長浜の子ども歌舞伎の曳山博物館に行ったり、郡上八幡の高雄歌舞伎を知ったり。
地方の人たちが支え伝えてきた文化の素晴らしさに目を見張りました。
また、
素浄瑠璃のうち女流義太夫への傾倒がありました。
今年私がもっとも感動したのは、ルジマートフかもしれません。
10月国立劇場小劇場の「NOBUNAGA」
来てよかった〜って心から思った2時間。
信長を主人公にした舞台は数々あれど、信長の孤独がこんなに際立った作品は今までになかったんじゃないか?
・・・と思ってしまう程の傑作でした。
日本舞踊とクラシックバレエのコラボレーションですが、中途半端に歩み寄るのではなく、
同じ物語の中でバレエダンサーはバレエを、日本舞踊の舞手は日本舞踊を、きっちり踊っていて、
それで違和感なくつくられているところが今回のすごいところです。
ルジマートフの信長、気合の入り方が凄まじい!
肉体が芸術品。最初の1秒から心臓わしづかみでした。
年齢をまったく感じさせない。
生けるブロンズ像。
岩田守弘さんの秀吉が、小柄で軽快で、ニン。
蘭黄さんは道三と光秀の二役。
所作事の風格で、大枠をきっちりつくりあげます。
鼓と太鼓、笛と箏にのってバレエと日本舞踊が対峙する緊張感!
素晴らしかったです。
長くボリショイで活躍し、ロシアの人々からリスペクトされている岩田さん。
彼がいなかったらこんな素敵な作品は生まれてない。
「全て違うんだ!」は振付も彼自身。ロシア人の魂の叫びが聞こえてくるような作品でした。
ソヴィエト時代のロシア人の魂の叫びのような歌に振り付ける、
これを見ただけでも、彼がロシアで人気があった理由がわかる。
3人が出会って今回につながったのは2010年「バレエの神髄」での二人の来日でした。
そのときのルジマートフの「阿修羅」を振り付けたのも岩田さんです。
ロシア文化フェスティバルin JAPANにふさわしい舞台でした。
「NOBUNAGA」は「バレエとは何か」をつきつけました。
国立劇場小劇場って、590席しかないんですよ。
そこで、ルジマートフが舞うんですよ。
花道でアラベスクとか、ほんと息がとまりそうで、
アンコールでもう一度クライマックス踊ってくれて、その上カーテンコールに応えてピルエット〜!
花道を進むルジマートフの「神の肉体美」に触れたら、
彼そのものが「バレエ」である、としかいえない!
作品自体が素晴らしかったし、岩田守弘もよかったけど、やっぱルジの存在感でしょう。
歌舞伎界に目を転じると、
今年は新作ラッシュでした。
「阿弖流為」(市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助、坂東新悟)
「ワンピース」(市川猿之助、坂東巳之助、中村隼人)
「あらしのよるに」(中村獅童、尾上松也、中村梅枝)
どれも素晴らしかった~!
花形世代の意欲もさることながら、
脇をかためて彼らの冒険を支えたベテラン勢(市川萬次郎や坂東弥十郎ほか)にも拍手を送りたい。
その一方で、古典の通し狂言も多い年でした。
何十年ぶりに復活上演をする試みも多かった。
伝統をつなげようとするベテラン勢の気持が伝わりました。
両輪あってこその歌舞伎。
夏は若手の勉強会もたくさんあって、
未來への希望を感じました。
ミュージカルでは「ラ・マンチャの男」の松本幸四郎も神がかっていましたが、
幸四郎・松たか子共演の舞台には届かなかった。
一つ挙げるなら、私は「ピピン」を推します。
オリジナリティ、クウォリティ、インテリジェンス、クリティカルセンス、
すべてが結実した舞台でした。
演劇では、ルパージュが演出した「Needles and Opium 針とアヘン」(世田谷パブリックシアター)。
何がすごいって、映像と舞台のコラボです。
コスト削減のために映像を使ったコラボじゃない。
想像力に訴えて映像なしでもできるのに、そこを映像に頼ったコラボでもない。
映像でも舞台でもできない、
どちらも使わなければこの世界は生まれない!・・・そう思わせる映像の使い方にただただうなるのみ。
だからルパージュの作品は見逃せないんです。
美術館・博物館では
最後の最後に観た「清水三年坂美術館」。
印籠と煙草入れと刀、そして金工のあまりの見事さに開いた口がふさがらないほど。
七宝焼き、色彩象牙彫にも圧倒されました。
巷では「SHUNGA」と「鳥獣戯画」に人気が集中した一年でした。
でもあまり混みすぎるところでは落ち着いて見られないので、
そのへんが難しいですよね。
藤田嗣治の「アッツ島玉砕」「ガダルカナル血戦」を間近にじっくり見られたのは幸せでした。
来年は文楽の嶋大夫引退公演から始まります。
嶋大夫さんは、私が文楽を愛するようになった大きな原動力でした。
だから、本当に寂しいです。
日本の文化が、脈々と続いていきますように。
その価値と楽しさ、美しさを、1人でも多くの方が味わってくれますように。
そして
いつまでも文化を楽しめる平和な日々が続きますように。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
のルジマートフでしょう。
「ワンピース」が「歌舞伎とは何か」をつきつけるとしたら、

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