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「三銃士」@帝国劇場

帝劇に、「三銃士」を観に行ってきました。
井上芳雄のダルタニアン、山口祐一郎のリシリュー、吉野圭吾のロシュフォール、
瀬名じゅんのミレディ、和音美桜のコンスタンス、
三銃士には橋本さとし、石井一孝、岸祐二、
王に今拓也、王妃にシルヴィ・グラブ、狂言回しに坂元健児、と
きら星のごとき帝劇ミュージカルの常連たち!
贅沢な布陣は、さすが「帝劇100周年」の年ですね。
「すごくいい!」「楽しい!」「山口さんが新境地!」
「リピート!」「再演間違いなし!」と、評判がいい。
かなり期待して行きました。
最も印象的だったのは、コンスタンスの和音美桜。
彼女の上品で確かで若々しくて美しい歌声にはまいった。
「ウーマン・イン・ホワイト」のときは、役柄のせいか、
歌はうまいな、と思ったけどそれだけだったのが、
今回は、まさに「プリマの素質」を感じた。
なんというか、
彼女にオペラ座の怪人のクリスティーヌをやらせたい。
伸び盛りの輝きが、そこにある。
三銃士の中では、
アトスの橋本さんがもっとも目立つ役なのだけれど、
声は石井さんがもっともよかった。
やっぱり、私はミュージカルを観るとき、
まずは「声」で判断してると感じた。
山口さんももちろん上手いし、井上くんも聞かせるナンバーがある。
でも、
音域のせいなのか、楽曲のせいなのか、
自分のものにして自在に歌いこなしている感は、あまりなかった。
魂が身体から抜け出して、歌にのってこちらまで届くような感激は、なかった。
このミュージカルにイマイチ乗ることができなかった最大のポイントは、
ミレディの描き方にあると思う。
これは、瀬名じゅんがどうのこうのではなく、本の問題だ。
このミュージカルでは、
ミレディは不幸な女であり、必死になって自らの名誉回復と、
元の恋人の元に自分の身の潔白をわかってもらうために、
捨て身で追放されたフランスにやってきている。
そこがストレートに描かれすぎて、
「ええ~?? ミレディってもっとしたたかな女じゃなかった?」って
その違和感が最後まで私を物語から遠ざけてしまった。
ミレディは、つまり「ルパン3世」の峰不二子をもっと手だれにした感じで、
たとえ胸の奥底にいろいろあったとしても、
それを上回る魔性の微笑みをたたえる万華鏡のような女でなければならない。
悪女の中の悪女、それもとびっきり色香があって人をまどわせる女、
それが、ミレディのはず。
ところが。
このプロダクションに、ホンモノの悪人は出てこない。
単純に「善の三銃士」VS「悪の枢軸」かとおもいきや、
「悪」のリシュリューやその手下のロシュフォールにも「三分の理」があり、
その上、ちょっとコミカル。
ミレディはくだんの通り、「男の犠牲者」的扱い。
「食えないヤツ」っていう凄みが、どの役にも貫かれてはいない。
「善」の三銃士側はなおさらだ。
彼らは「道徳」のお手本みたいにまっすぐで、一つも手を汚してない感じ。
でもさ~。
フランスのお話、それも宮廷のお話って、そんな教科書的には進まないものなの。
「善」に見えるものだって、実は……ってところを描いてこそ、
「ああ、人間って」と深みが出るというものさ。
少なくとも、
ミレディには、もっと悪女を貫いてほしかったし、
もっと妖艶であってほしかった。
ダルタニアンに迫るミレディは、まったく「なって」ませんでした。
もう、あそこ喜劇になっちゃってたもんね。
みんな笑ってたし。
年増の女に迫られて、少年ビビルっていう構図で。
コンスタンス一途のダルタニアンは落とせないでしょって
観客に思わせるプロダクションになってるから、観客に罪はない。
だから、「本」って思うの。
ダルタニアンがとろけるようなミレディじゃなくっちゃ、お話になりません。
そんなミレディの悪行の数々があるから
最後の「審判」が生きてくるわけで、
あれじゃ、かえってミレディがかわいそうになっちゃいます。
二度も意中の人から地獄に落とされるわけだし。
ミレディは「三銃士」という国家に使える者たちの、正義の戦いの脇に咲いた、
仇花のようなもの。
それを「哀れ」にではなく「あっぱれ」に描いたのがデュマだった。
そここそが、
この「ミレディ」というキャラクターが愛される理由だと思うから、
物足りなく思ったのかもしれません。
でも、
単純明快な活劇ストーリーだからこそ面白い、という人も
もちろんいると思います。
複雑すぎたら、まとまらなくなっちゃいますしね。
原作とかまったく知らなかったら、これはこれでよかったのかしら。
でも、
リシュリューにしてもダルタニアンにしても、
なーんかどこかで観たようなキャラだったのが気になります。
民衆も、兵士も王族も、
描かれ方がステレオタイプだとも思った。
もっと、新しいものが観たかった、ということなのかもしれません。

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