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「エリザベート」(城田/朝海/浦井/寿)@帝国劇場

城田トート、ヤバすぎ! 息ができなくなりそう。
今までとまったく違うエリザベートを見てる気がする。
これはロックだ!ハプスブルクというクラシックへの斬り込みだ!
後半へ続く!
…と、1幕終わって段階でTwitterにつぶやいてしまった。
1人で観劇だったこともあり、もう誰かに言いたくてたまらなかったの。
「後半へ続く!」と書いた、その後半。
1幕はほんとに見事に黄泉の帝王としての雰囲気を作っていたんだけど、
(それはつまり、歌も見事だったってこと)
後半の序盤はちょっとフツーの人っぽい歌い方になってしまいました。
こういうところは、
やっぱり山口さんはさすがだな、絶対ぶれないな、って思った。
けれど、
幼いルドルフを値踏みするように眺めるところなどは、
もうコワさも尋常ではなく。
さらに成長したルドルフ(浦井健治)とのからみは最高!
浦井ルドルフ自身が、初演のときよりはるかに成長していて、
歌も踊りもだけど、表情の作り方がすごいの。
皇太子の素直さも、素直なだけに騙されやすかったり、
すがる目、拒否されて戸惑う目、
自分が注目されたいという虚栄心の目、
すべてを失ったときの絶望のなかで見せる自嘲の目、
なんて細やかな演技なんだろう……。
もうこの人は、そのうち皇太子から皇帝役になるんだろうな、と。
城田と浦井でエリザをめぐる三角関係を、
あと10年もしないうちに見られそうな気がします。
私は実は朝海エリザも初見なんですが、
いろいろ言われてるわりに、私は好きでした。
幕間に、観客が「私たちの耳が慣れてきたのかも」とかおっしゃってましたけど、
彼女は自分のエリザを獲得しつつあるんだと思う。
出ない音域は多々あるけれど、
彼女のエリザとしての演技には非常に引き込まれた。
「自分しか愛さない」エリザ、
すべての愛が自分のためであるエリザ。
そこがよく出ていたと思う。
婚約時代の1曲にしても、
今まで聞いた中でもっとも2人の蜜月を感じ取れた。
ほんとに愛し合っていたのね、この2人。
石川フランツも、全身でエリザを愛した。
「何でも言うことを聞く!」の1幕の幕切れはもう悲鳴のようだった。
すごーくエリザを求めていて、
でもそれは、城田トートもそうだから、
「私の妻だ!」「私のものだ!」っていう2幕終盤の2人の応酬も
山口トートだと余裕に見えるんだけど、
城田トートにはフランツに対する嫉妬が見えるのね。
大体、
一番最初に木から落ちたエリザから命を奪おうとしたときに、
エリザの無垢な瞳にみつめられて一瞬で恋に落ちた、
その瞬間が2階からも見てとれました。
今まで誰に対してもなんの感情もなく奪っていたそのルーチンが壊れた瞬間。
だからエリザがトートにとって特別だってことがすごくよくわかった。
夜のボートのところで朝海エリザが相当に老けていたところがあっぱれ!
「28年」の重みを感じた。
フランツもどんどん老けメイクだったから、釣り合ったし。
黄泉の帝王の城田トートがまったく若いままっていうのがまたコントラスト。
人間との違いがよく出ていた。
そして、命がつきると、また最初と同じ、わかいエリザになる!
魂は永遠なのね。
全幕を通して、全員が素晴らしくいい出来だったと思う。
ダンサーたちの切れも抜群だったし。
ルキーニの高島政宏も、今まで見たなかでも一番よかった。
楽が近いということもあるのかもしれないが、
それだけでなく、
城田トートのリズムに巻き込まれていった部分もあるのではないだろうか。
とにかくロックなのだ。
「ハプスブルク」というクラシックの殿堂があって、
寿皇太后とか石川皇帝は本当に素晴らしい喉を披露する。
そこに「ロック」!
言ってみれば、元ヤンキーの娘さんがいいとこのお坊ちゃんと結婚し、
習慣の違いにとまどっていると、
「お前の幸せはここにはない、オレといるのが一番お前らしいんだ」って
一緒にブイブイ言わせてたダチが引き戻そうとする。
「もうちょっとがんばる。ここで幸せになる!」と拒否るんだけど、
結局最後は戻っていく~、そのときは、家庭崩壊、みたいな~。
そう考えると、
朝海さんの「声」が石川さんの「声」と合わないのも、
かえってリアリティといいますか。
そういう感じなのでありました。
あーーー、久々にスタンディング・オベーションでしたよ。
今日は2階最前列真ん中へんで、とっても気持ちよく見ることができました。
それもあって、内容がよく理解できたのかな~。
「皇帝がエリザを愛してしまったのが、ハプスブルグ崩壊の原因」というのが
ものすごく納得しちゃったの。
フランツ、あれだけエリザを盲目的に愛しちゃったから。
その愛がものすごく強いからこそ、
トートは嫉妬もし、ハプスブルク家を傾かせ、ルドルフまでも死に追いやった。
うーん、
初めて物語としての「エリザベート」がわかった気がする。
しかし、
城田くんのあの背の高さと日本人離れした容貌は、
ほんっとに武器だわ~。
もって生まれたものを活かせるだけの歌の訓練をしたところが、
彼の勲章だね!
山口トートとはまったく違う魅力をもっているからこそ、
みな東宝の策略にまんまとひっかかっって、
いろんな組み合わせで買っちゃうのよね、チケット。
千秋楽は30日です。

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