2009年のトニー賞の授賞式で見た1シーンで私の心をくぎ付けにした作品。
日本に来たら絶対観たいと思っていたので、
来日ものではありませんが、日本のキャストの今回の舞台に行ってきました。
子どもを亡くすという哀しみとともに生きる親の気持ち、
自分より死んだ子どものことを考えている親をみながら育つ子どもの気持ち、
心が痛んだときに、それは「病気」って言われるのか、
「病気」は薬で治療できるものなのか、
「病気」の人を、家族はどう受け止めればいいのか。
家族、医療、社会、いろいろなことを考えさせる素晴らしい作品です。
ぜひ見てください。
腫れ物にさわるような一日から始まるこの家族の物語、
ラスト、主人公の決断は衝撃的でした。そうくるかって。
小西遼生はゲイブのくぐもった怒りを声に蓄えていて、非常によかった。
安蘭けいも、宝塚を卒業して初めて自分にあった役をもらったのではないでしょうか。
Wキャストのシルビア・グラブも気になりますが、
知的な女性の不安と哀しみを表しつつも、
アメリカの作品らしい天然のコミカルさを併せ持って、よかったと思います。
ノーマークだった村川絵梨のよくのびる声が私は好きでした。
このように、キャストはがんばってはいましたが、
これは俳優ではなく歌手がキャスティングされるたら、
また違う作品になるのでは、と思った。
1曲1曲に、ものすごく感情の襞がつまっている。
その上、ロックとかフォークとか、
そういう歌い方ができる人でないと、味が出ない楽曲になっています。
「オペラ座の怪人」をやったラミンは、七色の声を持っていたけれど、
楽曲のジャンルによって歌い方を変えられる器用さがないと、
完璧に表現できない難しい作品かもしれません。
それも、オペラのように大仰なしゃくりあげ方ではダメ。
だって、
ごく普通の家庭の中の物語だから。
演じ手にとって、手ごわい作品です。
プログラムを観ていてびっくりしたのは、
この作品が最初は「Feeling Electrric」という作品で、
それを見た一流の演出家やプロデューサーが
作品のよさを残し、ブラッシュアップしてこの「Nwxt to Normal」が生まれたということ。
最初は粗削りでもいい、
そこにダイヤの原石があれば。
そして、
舞台製作というのは共同作業なんだ。
この二つを、しみじみ再確認した日でした。
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「Next to Normal」@シアタークリエ
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